2度目の緊急事態宣言が明けたいま、心に葛藤がある。昨年の緊急事態宣言の頃は、コロナ以前の無駄について指摘する声が多かった。ハンコもオフィスも飲み会も要らないじゃないか、と。しかし2度目の今回、無駄に見えて実は大切だったことに意識が移っている▼それは人と接するということ。多くの人と接することが可能になれば、それはそれでストレスも増えるだろう。一方で、人と接することで得られるさまざまな幸せがあって、ストレスを和らげてくれる。その均衡が織りなす日常こそ、本来の健全な姿ではないのかと▼それは多分、大きな災害の直後には、次に同じような災害があったときのことを考えるが、暫くするとそれを忘れて昔の日常に戻ってしまうのと感覚が似ている。せっかく得た教訓が風化し、以前と同じ暮らしに戻ってしまう▼だが現実として、コロナ以前の日常が戻ってくるわけではない。ダメなことはやはりダメであり、無くしていかなければならない。教訓を生かし、新たな時代の新たな日常を生きていかなければならない▼そうは言っても、人は人と一緒でなければ生きていけない。人と接することで活力が生まれ、明日を大切に生きようと思うのだ…。考えても結論が出ない。久しぶりに社外の人と飲み、意見を聞くことにしよう。(21・3・23)

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