矢野経済研究所は、新型コロナウイルス感染症の検査薬・装置の2020年度の市場規模が360億円(出荷額ベース)に上ったとの調査結果をまとめた。前年度にコロナ検査需要はないため、新規の事業機会だ。新型コロナウイルスの遺伝子を検出する核酸増幅検査ではPCRを中心に臨床検査薬各社が相次ぎ製品を投入し、抗原や抗体など検査技術の多様化も進んだ。

 21年度は440億円と2割強増える見通しだ。変異株の流行拡大により、第4波、第5波が懸念されるなか、変異株の監視体制の強化や検査試薬の開発などの対応が前進する。複数の検査薬メーカーで、新たな検査手法の開発が進む見込みで、従来株、変異株ともコロナ検査薬の需要は継続して拡大するもよう。

 新型コロナウイルスの検査薬市場は臨床検査薬市場にとっては新たな事業機会の一つになっている。薬事手続きが迅速に行われるだけでなく、薬事承認前の検査試薬にも保険適用が認められている。PCRなどの検査装置に対する補助金制度も充実しており、医療機関や地方衛生検査所などで遺伝子検査装置の導入が進み、市場が大きく広がっている。

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