◇日本化薬

 日本化薬の2021年3月期決算は、売上高が前期比1・0%減の1733億円、営業利益が同13・1%減の151億円、経常利益が同8・3%減の165億円、純利益が同1・9%減の125億円と減収減益だった。医薬事業のみが増収増益を達成。コロナ禍影響は自動車関連でいぜん大きく、需要回復スピードの鈍化などで自動車安全部品(セイフティシステムズ)事業は減収減益で着地した。

 医薬事業では抗体バイオシミラーなどが好調に推移したほか、販売関連費用の減少も寄与。売上高が同5・6%増の504億円、セグメント利益は同13・2%増の8億円となった。機能化学品事業は約1割の減益となったものの、半導体封止用エポキシ樹脂などが好調で増収に転じた。色素材料も在宅勤務による印刷需要の増加で一部製品が好調だった。セイフティシステムズ事業は下期から大きく改善したが、コロナ禍収束の不透明感増大で需要が鈍化。通年では中国向けを除き低調に推移した。

 今期業績は増収減益を予想。売上高1760億円、営業利益124億円とした。

 ◇日本曹達

 日本曹達の2021年3月期決算は減収ながら2ケタの増益だった。化学品、商社事業がコロナ禍の影響を受けたが、農業化学品が堅調で増益に貢献した。売上高は前期比3・7%減の1393億円、営業利益は22・7%増の99億円、経常利益は23・6%増の127億円、純利益は8・9%増の73億円だった。

 部門別の営業利益は、化学品が22・3%減の17億円だった。カ性ソーダや二次電池材料、特殊イソシアネートの販売数量が減少した。

 農業化学品は堅調。殺虫剤「モスピラン」、除草剤「ナブ」の輸出が伸びた。新規の殺ダニ剤、殺菌剤の販売開始も貢献し115・9%増の48億円となった。商社は14・6%増の7億3000万円だった。無機・有機薬品の販売が減少したが諸経費も減少した。

 22年3月期は売上高が2・6%増の1430億円、営業利益が9・8%減の90億円、経常利益が17・6%減の105億円、純利益が3・3%増の76億円を計画する。二次電池材料の回復を見込むほか医薬品添加剤、新規殺ダニ剤・殺菌剤の拡販に取り組む。一方、農業化学品では輸出向け販売の減少を見込む。

 ◇セントラル硝子

 セントラル硝子の2021年3月期決算は2ケタの減収減益だった。コロナ禍など世界的な景気悪化の影響を免れなかった。売上高は前期比14・3%減の1906億円、営業利益が49・0%減の40億円、経常利益が44・6%減の47億円、純利益はガラス事業関連の特別損失などを計上し80・8%減の12億円となった。

 部門別の営業損益は、ガラスが30億円の営業損失(前期は2400万円の営業利益)となった。コロナ禍で自動車用ガラス、ガラス繊維の販売が減少。建築用ガラスでも不採算取引を見直し、米国建築用加工ガラス事業から撤退した。

 化成品は10・9%減の70億円だった。次世代溶剤、半導体関連特殊ガスやリチウムイオン電池用電解液製品の販売は好調ながら断熱用発泡剤や医療関連製品が低迷した。

 22年3月期は売上高が3・3%増の1970億円、営業利益が72・2%増の70億円、経常利益が68・4%増の80億円、純利益が184・5%増の35億円とV字回復を計画する。成長分野への注力、海外展開の加速に取り組む。ガラス事業でも構造改革を進める考え。

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