先週、東北電力女川原発2号機の再稼働に宮城県知事が同意すると表明した。東日本大震災で被災した原発の再稼働に地元が同意するのは全国初。東北電力は2022年度以降の再稼働を目指すという▼同じく先週、宮城県。松島町で建設が進んでいた「松島どんぐり太陽光発電所」の竣工式が開かれた。一般家庭約1万6000世帯分の電力を発電する。松島は言わずと知れた日本三景の地。世界に誇る景観と環境に優しい発電設備を擁し、地元は様々な波及効果を期待する。もちろん震災からの復興を象徴する施設として地元住民への心理的効果も大きいだろう▼女川原発の再稼働も、背景には震災で人口減少に歯止めがかからない立地市町の地元経済活性化の切実な思いがある。事故の不安を抱えつつも苦渋の選択だったと言えよう▼2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにすることを目指す方針を表明した菅首相。政府の会合で「日本の新たな成長戦略」と強調し、経済と環境の好循環を生み出したいと発言した。ぜひそうあってほしいが、平坦な道のりではない▼首相の言う「経済」には地方経済も充分に織り込まれていると期待したい。太陽光や風力発電の導入のみならず、環境対策を地方経済の活性化につなげる知恵を絞り出し、実行してほしい。(20・11・16)

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