「ヘイ シリ」「オーケー グーグル」そして「アレクサ」。スマートフォンやタブレットなどにこんなふうに声をかけると、それぞれAI音声アシスタントが「ご主人様なにかご用ですか」とばかりに応答し、その後のアラーム設定やメール操作などの指示を受け入れてくれる。人前でやるのは気恥ずかしいが、家ではけっこう使っている▼3人も召使いがいると、ときどき唱える呪文を間違える。たとえばアンドロイド系スマホに「ヘイ シリ」と呼びかけていたりする。なんど言っても反応しないので、マイク部分を口に近づけたり、声を大きくしたりして何度かしゃべっているうちに、あっそうか、と相手違いに気づいた▼それぞれの音声認識精度には差があるが、完全100%な認識が無理なのであれば、無視できるほどの差だと思う。発音や速度にも影響を受けるはずだ。よく認識してもらえるしゃべり方を覚えていく必要もある。いまは価格やデザイン、機能などで端末が選ばれているが、これからは召使いの耳と頭の良さが、選択の大きなポイントになってくるのだろうか▼ある晩のこと。ふざけて娘に「ヘイ ○○○(子の名前)」と声かけて、テレビをつけさせようとしたが反応がない。なんだと思ったら、イヤホンをしてゲームに熱中していた。デジタルに包囲されゆく日々である。(21・2・17)

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