◆カネカ

 カネカの2020年3月期決算は利益面が大幅に減少した。カ性ソーダの収益悪化などで、売上高比率が全体の4割と多いマテリアル部門の落ち込みが大きかった。また、新型コロナウイルスの影響で多くの製品が第4四半期以降収益を落としたことから、第3四半期後に修正した業績予想をさらに下回る結果となった。営業利益は前期比27・8%減の260億円、経常利益は35・5%減の201億円、純利益は同37・0%減の140億円、売上高は同3・1%減の6015億円。

 全部門で営業減益となった。マテリアル部門が同20・6%減と最も下げ幅が大きかった。カ性ソーダはアジア市況の低迷が続き収益が悪化。塩ビ樹脂やモディファイヤーは第4四半期に減速。自動車やエレクトロニクス向けの先端ニーズに対応しているエポキシマスターバッチは堅調だった。

 クオリティオブライフ部門は同6・0%減。ポリイミドフィルムやグラファイトシートは、スマートフォン市場が新型コロナの影響で回復に遅れが出ている。一方、建材に使われるスチレン系発泡樹脂や押出しボードは収益が増加した。

 ヘルスケア部門は同15・7%減。医療機器での技術導出の遅れや低分子医薬品の出荷ずれ込みが響いた。ニュートリション部門は菓子パン市場やコンビニの不振の影響が出たことなどにより同4・8%の減益となった。

 今期の業績予想は現状では合理的な算定が困難なため未定とした。

◆ヤクルト本社

 ヤクルト本社の2020年3月期決算は、売上高、営業利益ともにほぼ前年同期並み、純利益が2ケタの伸びとなった。国内飲料事業は前期の生産機器売り上げ増加の反動から減収となったが、乳製品乳酸菌飲料「Yakult1000」などの市場への導入効果により増益。海外事業はアジアを中心に販売本数が伸び、価格改定効果もあって増収となった。一方、為替の影響や経費増により減益だった。

 売上高は前期比0・2%減の4060億円、営業利益は同0・4%減の456億円、純利益は同13・7%増の397億円。飲料・食品事業は国内がネット注文サービスによる生活者との接点強化や、宅配組織の強化などを実施し、営業利益が同10・8%増の182億円。医薬品は薬価改定の影響により売上高が同9・3%減の196億円、研究開発費の減少などにより前期に比べ赤字幅は縮小した。化粧品全体では前期を上回る実績を確保した。

 今期はプロ野球興行などに懸念があるがものの、新型コロナウイルス感染症の影響がないことを前提に、国内での「Yakult1000」」「ヤクルト400W」などの販売本数増や、とくにアジアを中心とした海外での販売本数増から売上高4110億円、営業利益470億円、純利益370億円を予想。 

◆本州化学工業

 本州化学工業の2020年3月期決算は、売上高が前期比2・3%増の212億8000万円と増収を確保した。利益面では、営業利益が同3・9%減の30億1000万円、純利益が同0・9%減の17億3000万円と前期並みを維持した。

 化学品部門において液晶ポリマー(LCP)やポリフェニルスルホン(PPSU)の原料となるビフェノールが期終盤に新型コロナウイルス感染症の影響を受けたものの、ビタミンEや酸化防止剤の原料となるクレゾール誘導品が堅調だった。機能材料部門では光学レンズ向け特殊ビスフェノールが大きく伸長した。工業材料部門は特殊ビスフェノールが自動車市場の落ち込みを受け振るわなかった。

 今期は新型コロナの影響を加味し、売上高200億円、営業利益25億円、純利益13億5000万円と2ケタ減益を見込む。

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