◆日本板硝子

 日本板硝子の2020年3月期決算は4期ぶりの最終赤字となった。新型コロナウイルス感染症の影響で、設備休止費用や自動車用ガラスでののれんの減損などを計上し、1月に修正した業績予想を大幅に下回った。ガラス需要の落ち込みは今期第1四半期がピークとみており、売上高は前年同期比で4~5割の減収となる想定。通期業績の開示は見送った。

 20年3月期の売上高は前期比9・2%減の5561億円、営業利益は同42・5%減の211億円、純損失は189億円(前期は132億円の黒字)。千葉とマレーシアの1号窯休止の減損、ロックダウンによる設備休止費用、コロナ禍の市場影響などを織り込んで算出したのれんの減損など、第4四半期に196億円の個別開示項目費用を計上した。

 建築用ガラスは欧州を中心に営業減益。価格の下落が継続したうえ、設備の稼働率低下も響いた。太陽電池パネル用は北米などで好調だった。自動車用は自動車会社の工場休止が相次いだ欧州が悪化し大幅減益。高機能ガラスはプリンター用レンズや自動車向けグラスコードが奮わず減益となった。

 今後の施策について森重樹社長は既存事業のコスト構造変革やVA(付加価値)戦略の加速、成長分野である太陽電池パネル用の利益貢献を急ぐことなどを挙げ、「収益力を回復させ、財務安定性にも寄与させる。利益とキャッシュを改善する」と話した。またコロナ後を見据え、抗菌・抗ウイルス、遺伝子検査などでのニーズへの対応を強化する。

記事・取材テーマに対するご意見はこちら

PDF版のご案内

HP独自・先行の最新記事もっと見る