AGCは14日、新型コロナウイルスワクチン向けなどで需要が増加しているメッセンジャーRNA(mRNA)の受託製造に乗り出すと発表した。バイオ医薬品開発・製造受託(CDMO)事業のドイツ拠点にmRNAの生産設備を新設する。同時に原料のプラスミドDNA製造ラインも増設する。総投資額は数十億円。稼働開始は2023年中ごろの予定で、生産品目と供給力を拡充し、旺盛な需要を取り込む。

 バイオ医薬品CDMO米子会社AGCバイオロジクスの独ハイデルベルグ工場でmRNAの生産設備を新設し製造受託サービスの提供体制を構築する。まず小規模プラントを導入し、事業動向に応じて順次拡張する計画。同工場ですでに事業化しているプラスミドDNAの生産ラインも増設する。

 新型コロナワクチン用で実用化されているmRNAは、新しい医薬品カテゴリーとして、ワクチン以外の分野も含め世界的な需要の増加が見込まれる。AGCバイオロジクスは、プラスミドDNA製造受託で培った技術やノウハウを生かし、mRNAの製造受託に参入する。

 プラスミドDNAは2基体制とし、供給力の引き上げと生産効率性の向上を図る。同社は、すでに発表している遺伝子・細胞治療薬拠点である伊ミラノ工場の増強と、米コロラド州・ロングモント工場の買収に加え、プラスミドDNAの能力増強で、原料プラスミドから遺伝子・細胞治療薬まで一貫したCDMOサービスの提供体制を一層強固にし成長を加速する狙い。

 AGCは、CDMOを中核とするライフサイエンス事業を戦略事業の一つと位置づけ、合成医農薬、動物細胞と微生物を用いたバイオ医薬品や遺伝子・細胞治療薬領域で買収・設備投資を積極化している。現状、25年度売上高2000億円以上を目標に掲げている。

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