日本医療研究開発機構(AMED)は、新型コロナウイルス感染症対策のための研究開発支援を強化する。AMEDが持つ2020年度調整費のうち、理事長裁量型経費の仕組みを活用。新たな支援テーマの公募などを行う。早ければ8月中に開く政府の研究・医療戦略推進本部(本部長・安倍晋三首相)での決定を経て、金額などの詳細を詰めていく。

 3日に開催した政府の健康・医療戦略推進専門調査会でAMEDの三島良直理事長が表明した。昨年度末からAMEDが実施している同感染症対策支援の第6弾の位置付け。例年、175億円を計上しているAMED調整費の一部を充当する。

 現在、新たな支援対象として公募・充実を考えているテーマは①対策のための支援②新技術導入による研究の加速③ニューノーマルへの対応-の3つ。治療薬開発などだけでなく、新型コロナウイルスと付き合っていかなければならない社会を見据えた取り組みも盛り込んだのがポイントだ。

 例えば、対策のための支援では、「治療薬早期実用化のための環境整備」を新たに掲げ、予測性の高い動物モデルの供給、効果的にモニターできるバイオマーカーや迅速測定法の開発などを支援する。また、こうした知見を活用し、効率的な臨床試験が実施可能な体制も構築する。

 新技術導入による研究の加速に関しては、人工知能(AI)やスーパーコンピューター「富岳」などの利活用を後押し。既存薬の転用をはじめとした治療薬探索を進めるうえで欠かせないイン・ビトロ評価基盤の整備をサポートする。

 ニューノーマルへの対応の場合、新規公募テーマの一つとして、「遠隔対応型の精神医療・メンタルヘルスケア」を挙げている。精神疾患患者に加え、医療従事者や市民らでも睡眠障害やうつ症状などが広がっているとの懸念が生じるなか、遠隔診療システムの実用化・社会実装を促進する。

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