ENEOSの機能材カンパニーは、新たな脂環式エポキシモノマーを開発した。優れた光反応性を持ち樹脂硬化時に露光量を低減させられるため、顧客メーカーの生産時間短縮に寄与する。さらに、金属腐食の懸念がある光酸発生剤の使用低減も可能。低粘度の特徴も生かし、ユーザーの生産性向上に貢献する。硬化物の耐熱性を向上させたグレードや、低誘電のグレードといった新規開発品も揃えた。早ければ2021年にも上市を目指す。

 新モノマーは、従来品と比較して高価な光酸発生剤の使用を10分の1程度にできると見込まれる。非常に反応性がよく露光量も大きく低減でき、後工程と呼ばれる樹脂硬化後の再処理も省ける可能性がある。顧客メーカーの生産性向上を訴求点とし、従来品とは異なる新たな市場を開拓する方針だ。低粘度を生かし、フィラーの高充てん化で機能性を高められる可能性も持つ。

 用途としては、電子材料向けの光接着剤や保護膜、インクジェットでのインキ基材などが想定される。量産製法の検討はすでに行った。現在は顧客のニーズを探りつつマーケティングを進めている。今後の需要次第では、年間万トンクラスの商品につながると見込んでいる。

 そのほかにも、ガラス転移温度(Tg)向上に資する新モノマーも2種類開発した。剛直な脂環式骨格により、添加することで硬化物のTgを250度C程度に向上できる。また、流動性改良に寄与する反応性希釈剤も開発品のラインアップに加えている。低誘電率・低誘電正接化が可能なことから、5G(第5世代通信)向け高速伝送基盤などでの用途が想定される。

 機能材カンパニーでは脂肪族化合物関連のノウハウを活用できる領域を探索するなかで、18年からエポキシ樹脂に着目。今回の開発品が上市されれば、ENEOSとしては初のエポキシ関連製品となる。「今後の製品ラインアップで一つの柱にしていきたい」(上野龍一機能材事業化推進3グループマネージャー)と期待をかける。

 これら開発品は、きょう19日から11月18日の間、オンラインで開催される「ケミカルマテリアルJapan2020」で紹介する。

《ケミカル マテリアル Japan 2020-ONLINE-》

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