米国食品医薬品局(FDA)は新型コロナウイルスワクチンの臨床開発や承認に関する指針を公表した。正式承認するには十分な規模の被験者を集め偽薬(プラセボ)を対照に置く比較試験の必要性を指摘し、接種群がプラセボに比べて少なくとも50%以上発症や重症化を防げる効果の実証を求めた。

 インフルエンザワクチンの発症予防の有効率は50%を下回る報告もあり、指標に示した50%以上は決して高い要件ではなさそう。一方で承認を得るには一定規模の被験者の予防効果の立証が必要で、流行状況次第で治験実施が困難な地域もある。

 日欧などはワクチンの承認要件を公表していないが、FDA指針が一定の目安になる可能性がある。欧米の製薬会社は数万人規模の治験を予定する。日本ではアンジェスが最初の治験を先ごろ開始し、その後、大規模治験を計画する。

 FDAは指針で、少なくとも1年間の追跡調査も要求した。ワクチン接種が逆に免疫暴走を誘発して呼吸器症状を悪化する懸念を指摘し、安全性を慎重に観察するよう求めた。指針では正式承認以外に緊急使用許可(EUA)の可能性も提示した。ただ、最近はEUAを取り消す事例もある。

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