先週の金曜日、コロナ感染拡大後で初めての出張があり、大阪のビジネスホテルに泊まった。ロビーに到着しチェックインすると、女性スタッフが宿泊料を示す用紙を差し出す。記載されていたのは3千円に満たない額だった。前回泊まったときはその3倍はしたはず。思わず「安いっ!」と声を出してしまった▼コロナ禍の需要減の影響とはいえ、こんなにも値下げして経営は大丈夫なのだろうか。化学プラントのように限界利益があれば稼働を高めたほうが良いのかなどと思いながら、現金で宿泊代を払った。数千円をカードで払う習慣がないのでそうしたが、キャッシュレス社会の落ちこぼれを露呈した気分になった▼部屋で荷物を下ろし束の間の一服。その後、会議のため大阪支社へと向かう。出迎えてくれた社員が、ホテル安かったでしょ、と笑みを向けてくる。聞けば、10月から東京発着の旅が追加された「Go To トラベル」キャンペーンのお陰なのだという。何事も取りこぼさない関西人の機敏さに感心するのと同時に、自らの落ちこぼれ感が増幅するのを禁じ得なかった▼出張から戻って散髪に行くと、テレビで東京発着のGo To追加により、賑わう観光地の様子を伝えていた。まあ、かなりお得になるから当然でしょ。したり顔で話す客となっていた。 (20・10・6)

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