英グラクソ・スミスクライン(GSK)はこのほど、同社が開発した新型コロナウイルス感染症に対する抗体医薬「ソトロビマブ」が新たな変異株「オミクロン株」にも有効な可能性を確認したと発表した。動物試験などの非臨床試験で、同株や他の変異株に共通する変異を再現した疑似ウイルスに対し中和活性があった。

 感染に重要なスパイクたんぱく質に結合してヒト細胞への侵入を阻害するのが作用機序。GSKは従来の各種変異株とオミクロン株に共通する変異を再現した疑似ウイルスを人工的に作製し、ハムスターによる試験などで中和活性の維持を確認した。オミクロン株の変異すべてを再現した疑似ウイルスを使った試験も進行中で、年内にも結果が判明する見込み。

 オミクロン株はスパイクたんぱく質で多くの変異が確認されているが、ソトロビマブは同たんぱく質の中で変異しにくい領域を結合のターゲットにしているため変異株の影響を受けにくいという。

 同様の作用機序の抗体療法「ロナプリーブ」を開発した米リジェネロン・ファーマシューティカルズは、同剤など多くの抗体療法はオミクロン株に対する有効性が低下する可能性が高いとの見方を示している。

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