2050年カーボンニュートラルを宣言したことで、日本でもカーボンプライシング(炭素の価格付け)に関する議論が本格化しようとしている。欧州では2005年に欧州連合域内排出量取引制度(EU-ETS)が開始され、複数の国では炭素税も導入されている。欧州の気候変動政策に詳しい地球環境戦略研究機関(IGES)の松尾直樹上席研究員に制度の運用状況について聞いた。
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 ▼ETSと環境税の違いは。
 「炭素税は1990年代に北欧諸国から導入が始まった。温室効果ガス(GHG)排出削減よりも財政上の要請があった。これらの国では間接税率が15~20%とすでに高く、税収を増やすために環境対策を名目に新たに炭素税が導入された。ただ、財政は各国の主権に関わる問題で、欧州全域に共通化することは難しい。一方、キャップ・アンド・トレード型のEU-ETSは一種の規制であり、各国政府ではなく欧州委員会(EC)が責任を負う。産業セクターごとに税率を変える必要もなく、制度設計がしやすいので、EUレベルでの導入が可能だった。世界で最も歴史の長いETSであり、他の国のETSのモデルとなっている」
 ▼導入後の状況は。続きは本紙で

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