JCRファーマは4日、新型コロナウイルスワクチンの原液を製造する新工場を兵庫県神戸市に建設すると発表した。総投資額は116億円。JCRは、英製薬アストラゼネカが厚生労働省に先月承認申請したコロナワクチンの原液製造を受託している。既存工場に追加して新工場を立ち上げ、ワクチン原液を安定供給する体制を作る。 

 神戸市から自己資金の約20億円で取得した神戸サイエンスパーク内の約2万平方メートルの土地に、ワクチン原液の工場を建設する。製造棟は一階建てで、3階建ての事務棟も作る。今年7月に着工し、2022年10月に完成する予定。

 アストラゼネカのコロナワクチンはウイルスベクターにコロナウイルスの抗原遺伝子を組み込んだワクチン。日本へは今年中に1億2000万回分を供給する契約を結んでおり、うち3000万回分は3月末までに海外から供給される。JCRは残りの9000万回分の原液を既存の工場で製造・供給する。製剤化は第一三共などが手がける。

 新工場は22年の完成時の新型コロナの流行状況を踏まえてワクチン原液の製造量をアストラゼネカと協議して判断する計画。

 アストラゼネカのコロナワクチンは厚生労働省のワクチン生産体制等緊急整備事業に採択され、約162億円が助成される。新工場は助成金の一部が使われるほか、JCRは自己資金も投じる。同事業は30年3月までにワクチンを製造できる体制の整備を要件としており、JCRは新工場建設を決めた。

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