KMバイオロジクスは20日、開発中の新型コロナ不活化ワクチン「KD-414」の新たな臨床試験を月内にも開始すると発表した。同じ明治グループ傘下のMeiji Seika ファルマと共同で、成人を対象とした国際共同第3相臨床試験(P3)と、11歳以下の小児を対象としたP2/3を行う。新型コロナワクチンで5歳未満を対象とした臨床試験は国内初。政府が今国会での成立を目指す緊急承認制度の適用を前提に、これまでの臨床試験結果を用いて9月にも早期申請を目指す。

 成人P3では、18歳以上、40歳以下の750人を対象にKD-414を接種し、免疫原性、有効性、安全性を評価する。日本とフィリピンの計30施設程度で行い、英アストラゼネカ製コロナワクチンを2回接種した750人を対照群とする。P1/2の結果として中和抗体価の増加が40歳以下の被験者で顕著となり、若年層向けワクチンとして申請する。

 小児P2/3では、生後6カ月以上、18歳以下の600人を年齢で3層に分け、各層100人を対象にKD-414を接種する。接種用量と回数の選定を目的に、探索試験を行う。

 共同で事業化に取り組むMeiji Seikaファルマの小林大吉郎社長は、今後、新型コロナワクチンを継続して接種する可能性や接種に対する考え方の世代間格差を指摘し、「国産の不活化ワクチンを供給し、多様な選択肢を揃えることが重要」と力を込めた。

 KD-414は、21年12月に完成した菊池研究所(熊本県菊池市)内の施設で製造する。現状1500万~2000万回分の生産能力があるが、薬事承認後は即座に増産に舵を切る。同研究所内の設備増設や、医薬品製造受託機関(CMO)への委託も視野に、増産を進める方針。

 不活化ワクチンは感染力を失わせたウイルスを精製して製造する。接種後の副反応も比較的少なく、長年インフルエンザや日本脳炎ワクチンの製造に採用されている。変異株が出現した場合の切り替えも迅速かつ容易に行うことができ、同社は「複数種類の株に対する2価ワクチンも視野に開発を進める」(小林社長)という。

新聞 PDF版 Japan Chemical Daily(JCD)

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