米製薬大手メルクの日本法人であるMSDは3日、新型コロナウイルス感染症に対する経口治療薬として「モルヌピラビル」の製造販売承認申請を行ったと発表した。モルヌピラビルは軽症~中等症の同感染症患者を対象とした抗ウイルス薬で、第3相臨床試験(P3)が行われていた。同社は特例承認を希望しており、その検討プロセスに従い審査される見込み。日本政府は飲み薬の年内実用化の方針を掲げており、薬事承認を前提に、160万回分のモルヌピラビルの供給を受けることで合意している。

 二重盲検無作為化プラセボ対照国際多施設共同試験の結果に基づき申請した。モルヌピラビル群385例とプラセボ群377例で比較を行った。約1カ月の観察において、入院または死亡まで症状が悪化した患者の割合はモルヌピラビル群7・3%(28例)、プラセボ群14・1%(53例)で、モルヌピラビル群では死亡例はなかった。有害事象の発現率についてもモルヌピラビル群とプラセボ群で有意差はなかった。

 現在、日本で承認された同感染症の経口治療薬はまだない。飲み薬が承認されることで、軽症患者への対応を入院治療から外来治療へ転換できるようになる。

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