国立国際医療研究センター(NCGM)は5日、新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」が検出された患者の状態を解析したところ、2回のワクチン接種者でもウイルス排出期間が長引いている可能性があるとの見方を示した報告を公表した。未接種で罹患した人と同等期間、軽い症状であってもウイルス排出が続いているとみられ、今後も感染予防策が重要と呼びかけている。

 昨年11~12月に同センター病院に入院した小児1人を含む患者11人を対象に、渡航状況やワクチン接種歴、症状、治療、ウイルス排出期間などを調べ、まとめた。年齢は1~64歳で、全員が海外からの帰国者。小児以外の10人すべてで2回のワクチン接種歴があり、3回目の追加接種を終えた人はいなかった。

 入院時に多かった症状は発熱や咽頭痛で、11人中、5人で確認した。3人は無症状で、重症者や酸素療法が必要な患者はいなかった。ただ、重症化リスクを持つ1人に対しては、オミクロン株にも有効とされる英グラクソ・スミスクライン(GSK)の新型コロナウイルス感染症薬「ソトロビマブ」を投与している。

 一方、鼻咽頭拭い液を検体にウイルス量を調査した結果、検出可能性が低くなるとされる値になるまでに10・6日間かかることが分かった。同センターによるとワクチンを接種せずに感染した人と同程度の期間だといい、周囲への感染拡大を防ぐためにも予防を継続していくことが欠かせないとした。

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