米国研究製薬工業協会(PhRMA)は1日、オンライン記者説明会を開催し、新型コロナウイルス感染症の克服に向けた製薬業界の取り組みなどを紹介した。リチャード・モーシスキー最高医務責任者(CMO)は、多様なワクチン開発などの重要性を訴え、「サイエンスの力を通して日常を取り戻すことができると信じている」と語った。

 モーシスキーCMOは、新型コロナに対する治療薬・ワクチンの開発が全世界で1200件以上あることなどを紹介。遺伝子技術などを応用した初めてのワクチンも開発されている。モーシスキーCMOは「忘れてはならないのは、ワクチン開発は非常にリスクが高いということ」と述べ、開発成功するワクチンは限られるとの見解を示した。開発成功率は5~10%と見ている。「ゴールに向かって、数多くのシュートを打つ必要がある」とし、多くのワクチン開発の重要性を訴えた。

 各国政府が製薬各社と交渉し、自国へのワクチン供給を確保する「争奪戦」も始まっている。モーシスキーCMOは、「われわれは多国籍に事業展開する企業として、世界各国へ製品・サービスを供給する使命がある。企業として各国と連携、協力を続けていく」とコメントした。

 ワクチン開発は通常10年かかるとされるが、コロナワクチンでは多くの企業が18~24カ月内の実用化を目指している。モーシスキーCMOは前例のないスピードで開発が可能な根拠として、開発プロセスの一部を省くためではなく、臨床試験と並行して量産に向けた製造体制も同時に準備していることを挙げた。

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