医薬品医療機器総合機構(PMDA)は5日、新型コロナウイルスの変異株に対するワクチンの開発指針を公表した。既に承認されたワクチン(親ワクチン)を、変異株に対応させた改良品を想定し、現時点で日本ではファイザー製のみが該当する。海外治験で親ワクチンと免疫原性などの類似が評価されれば、追加の国内治験は必要ないと説明している。
 承認されているファイザー製のほか、承認審査中のアストラゼネカのワクチンは、ウイルスの遺伝情報を脂質ナノ粒子やウイルスベクターで体内に運ぶ新技術を用いる。遺伝情報を変異株に対応させるだけで、いち早く変異ワクチンを実用化できる可能性があり、海外で治験が進んでいる。
 指針はこうした新技術を用いたワクチンを想定。親ワクチンと作用原理および投与経路が同じで、免疫原性のプロファイルが類似していると判断できる変異株ワクチンの開発にのみ適用する。製造方法は同様または極めて類似を想定し、相違点がある場合は説明資料を求め、親ワクチンと同一の保管方法や有効期間を適用する方針だ。
 初回免疫として変異ワクチンを接種する治験では、親ワクチンの有効性に劣らない非劣性を証明する必要がある。接種後に中和抗体価が4倍以上に増えた被験者の割合を指す中和抗体陽転率などを主要評価項目とし、中和抗体陽転率の非劣性マージンはマイナス10%とした。親ワクチンの発症予防効果が60%を下回るケースはより厳しい非劣性マージンの設定を求める方向。
 追加で変異ワクチンを接種する場合は、親ワクチンの治験に参加し、初回免疫時の中和抗体価のデータを取得した者を被験者として推奨している。

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