内閣府は、政府の研究開発プロジェクトである戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期の新型コロナウイルス感染症拡大の影響を、参画している大学、国立研究開発法人、企業などを対象に調査した。6月19日時点で、今年度に設定した研究スケジュール影響への認識は「特に遅れはなし(予定通り)および2週間程度の遅れ」が43%。一方で、「1~2カ月程度」が45%と拮抗するとともに「約3~6カ月以上」が12%となり、合わせて57%の機関が月単位の遅延を心配する。これは緊急事態宣言が解除され、今後感染が再拡大しないことを前提としており、状況によっては研究開発の遅れが深刻化することも懸念される。

 研究開発に参画する延べ740すべての機関が回答した(同じ機関でも異なる課題を実施している場合は複数回答)。今回の委託元である内閣府による調査では、今後の挽回を含め計画通り実施できると答えたのは現状認識の回答(43%)より高い76%。ただ、1カ月から半年程度の計画の見直しが必要と調査当時に判断したのが23%だった。また、調査当時で支障があった業務として会議・打ち合わせ・出張22%、実験19%、物品調達15%、データ解析12%などを挙げた。

 内閣府が推進するSIP第2期は2018年度に始動。研究期間は5年間で12課題の研究開発に取り組んでいる。今年度は折り返し点の3年目。研究テーマによって進捗状況が異なることが考えられるほか、最近の社会・経済活動の緩和によって研究開発環境が大きく変わっていることも予想される。今回の調査を踏まえ、今年度の予算執行や年度末評価、来年度予算編成の参考にするとしている。

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