環境分野の世界の有識者が、地球環境への危機感を募らせている。旭硝子財団は先月、人類存続の危機を表す「環境危機時計」の今年の時刻を発表した。世界平均は9時47分で、前年より14分針が進んだ▼危機時計は毎年、各国の政府、非政府組織、研究機関などの専門家らが「○時○分」と回答し、それを集計している。調査開始の1992年の時刻は7時49分で、翌93年から3年間は8時台だった。96年に9時台に突入し、行きつ戻りつを繰り返してきた▼13年以降は針が進み続け、今年は過去最悪の時刻に達した。この調査は平均値だけでなく、回答者の地域や年齢による意識差も興味深い。今年は北米、西欧が10時台を示す一方、東欧・旧ソ連は8時台で危機感は薄かった。アジアは9時48分だが、中国に限ると10時34分だった▼年代による意識は、ここ2年で大きく変化した。調査開始以来、最も危機意識が高い層は60代以上だったが、20代・30代の針の進行が加速し、10時まで進んで60代と入れ替わった▼調査は今年で27回目。精度は測りきれない部分もあるが、調査報告書からは各国専門家の問題意識の所在や危機感の濃淡が浮かび上がってくる。危機時計の針は27年間で2時間進んだ。針の進行に歯止めをかけ、どう押し戻すかが問われる。時刻が進むほどにそれは実現困難になる。(18・10・1)

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