かの有名なフィリップ・コトラーによれば、企業がとるべき戦略は、市場での競争地位によって変わる。コトラーの理論をさらに推し進めた嶋口モデルでは、業界トップの「リーダー」がとるべきはフルライン(全方位)戦略による市場そのものの拡大育成と、他社の尖った技術やサービスの模倣(同質化)などである。トヨタや昔の松下が連想される▼2、3番手グループの「チャレンジャー」がとるべきは、リーダーが追随できない差別化戦略。差別化が市場ニーズを捉えれば、トップシェア奪取も可能となる。スーパードライ的な?。また下位グループの「ニッチャー」がとるべきは、限定された分野への集中。特定分野におけるミニリーダーを目指す。テスラでしょうか▼さて、どれにも属さないのが「フォロワー」で、シェアはそこそこ大きいがトップを狙わないグループだ。戦略は競合他社の模倣(追随)となる。これにより開発費などのコストを抑えて利益を出す。しかし、模倣しても経営資源に勝るリーダーに勝つことは望めない。まるでどこかの国のようだ▼カーボンニュートラルとDX。コロナが収束すれば、一気に表面化するのがこの2大トレンドにおける激しい国際競争だ。どうするわれらが日本。中途半端な真似ごとを脱し、せめてニッチトップを狙えないものか。(21・8・24)

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