インドの自動車産業が活況を呈している。1人当たりGDPは2000ドルに満たないが、中間所得層は今後年で2倍の6億人に増えるとの予測もあり、完成車各社が増産に動いているためだ。ただ競争は激化している。韓国の起亜が進出を計画する一方、かつての国民車「アンバサダー」を製造していた地場のヒンドスタンモーターズは倒産。インドで伸び悩むトヨタは首位スズキとの提携で巻き返しを目論む。競争が激しいのは部材も同様。勝ち抜くには提携やM&A(合併・買収)がアドバンテージとなる可能性が高く、積極策を期待したい。
 インドの新車販売台数(商用車含む)は昨年、401万台と過去最高を更新。ドイツを抜き世界4位となり、2020年には日本(17年は523万台)を抜いて3位に浮上する勢いだ。生産台数も前年比6・5%増の477万9849台と右肩上がり。市場の8割を占める乗用車のなかで排気量1~1・6リットルの小型車が牽引役で、とくに最近はセダンよりもSUV(多目的スポーツ車)が人気を集めている。しかしスズキが乗用車で4割強のシェアと突出している以外、完成車メーカーは群雄割拠というのが実情だ。
 部材メーカーも乱立の様相にある。車両軽量化に貢献するプラスチック材料のうち、最も搭載量の多いポリプロピレン(PP)コンパウンドで最大の生産能力を持つのが地場のAPPLインダストリーズ。同国の北・西・南部に5工場を構え、生産能力は年10万トン。昨年末にグジャラート州ダヘジにも新工場を立ち上げた。2位はマシノポリマー(年5万トン)。もともとライオンデル・バセルと合弁でスタートした地場メーカーだ。
 世界最大手バセルはインドから一度撤退したものの、数年前に相次ぎ買収を行って再参入し現在3位。また中国最大手の金発科技も13年に地場メーカーを買収して参入している。日系では三井化学、三菱ケミカルが北部に工場を構えるほか、住友化学が16年から南部で工場を稼働させている。
 PPコンパウンドは通常、乗用車1台に約50キログラム搭載されるが、インドは小型車が主流のため40キログラム前後。このため現在の市場規模は年20万トン程度で、各社の生産能力合計が需要を上回っている。自動車生産台数が増えパイが大きくなるとはいえ、各社が増産に動き、競争が一段と激しくなるのは必至。競争力を引き上げるには自前の増産投資だけでなく、地場企業との提携やM&A、あるいは原料PPメーカーとの協業が大きな武器となる可能性が高い。日系を含め各社の動向が注目される。

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