JSRと日本ゼオンが相次いで自動車向け合成ゴムの生産強化を推進する。JSRが検討中だったS―SBRの新プラントをタイに建設することを決定する一方、日本ゼオンも凍結していた川崎工場におけるHNBR(新ゼットポール)の量産計画を再開する。S―SBRについては旭化成ケミカルズ、住友化学、日本ゼオンの3社がシンガポールでの新プラント建設を発表しており、JSRの決定により国内各社のアジア拠点の建設計画が出揃った。
 JSRは、タイ化学メーカーのバンコク・シンセティクス(BST)と合弁会社を設立し、年6月の稼働開始予定で年間5万トンから10万トン能力のS―SBRの製造プラントを建設する。合弁会社の出資比率はJSRが51%、BSTが49%で、JSRがS―SBRの技術ライセンスを供与し、BSTから主原料を調達することで安定的な供給体制を構築する。
 現在、同社は主力拠点の四日市工場で今年11月をめどに年産2万5000トンの増強投資を実施中。新プラント完成時には欧州の委託生産分を合わせたS―SBRの生産能力は年14万トン-19万トンに拡大する。
 一方、日本ゼオンの新ゼットポールの量産化はすでに08年に計画されていたもの。リーマンショックを契機とする自動車生産の落ち込みから凍結していたが、生産回復とともに採用が増加しており、10年度5社、11年度は13社へ拡大する見通しであるほか、12年度以降も10社の増加を見込んでいる。同社では、こうした状況を背景に計画再開を決定。当初予定通り年産500トン能力のプラントを12年夏をめどに建設する計画だ。
 新興市場への需要シフトが進むなか、原料高騰や新興国メーカーの台頭など合成ゴムメーカーを取り巻く環境は厳しさを増している。今後も国内各社における高機能製品を主とした取り組みは強まりそうだ。

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