アート金属工業(長野県上田市)は、エンジンピストンの高性能化を推進する。低燃費技術の革新が続くエンジン開発に対応するため、カーボンナノチューブ(CNT)との複合化により材料やメッキ皮膜の特性向上に取り組むもの。材料では優れた摩擦特性や従来比5倍以上の耐凝着性を実現したCNT複合アルミ合金の製造法を開発。また、メッキについてもCNT添加による特性向上を実現しており、これら技術の量産部品への適用を目指す。同社では、積極的な技術開発によりエンジンの環境性能向上に貢献する考え。
 自動車の環境性能向上に対するニーズ拡大を背景に、エンジンの低燃費に向けた取り組みが活発化している。作動制御のレベルも従来に比べてよりシビアになる一方、アイドリングストップ機構といった新たな仕組みが相次いで実用化されており、ピストンに対する特性向上ニーズも高まっている。同社は、各種エンジン用のピストンおよびピストンピンの設計・製造メーカー。四輪車をはじめ、二輪車やトラック、パワーボート向け製品を国内外に供給している。
 CNT複合アルミ合金は、信州大学と共同で開発したもの。CNTが表面に付着もしくは内部に包含された金属粉末とアルミナ繊維によるプリフォームを作製し、これを金型内に配置して加圧鋳造法で成形する。一般のアルミ合金に比べてセラミックス繊維により耐熱性や耐摩耗性が、CNTにより潤滑性や耐焼き付け性、熱伝導性が向上しているのが特徴。性能評価試験では、アルミ母材に対して低摩擦および5倍以上の耐焼き付け性を確認している。同社では、CNTの添加量増加によりさらなる特性向上を目指す一方、ピストンリング溝部などでの実用化を検討していく。
 一方のCNT複合鉄メッキは信州大学、日精樹脂工業と共同で開発したもの。従来の鉄系メッキにCNTを混合することで、摩擦係数が小さく耐久性に優れたメッキ皮膜が実現できる。摩擦摩耗試験では、皮膜摩耗量が従来に比べて33%低減できたほか、相手材(先端)の摩耗量では83%の大幅な低減を確認している。今後、連続処理における皮膜品質の安定化に取り組むとともに、ピストンカート部などへの適用を検討していく。

自動車関連ニュースの最新記事もっと見る