「ものづくり力の強化」と「オンリーワン製品の拡充」を掲げる神戸製鋼所。グループの総合研究拠点である神戸総合技術研究所(神戸市西区高塚台)では、この基本方針を実現するため活発な研究活動を進めている。最新の高性能機器や充実した研究施設を活用し、自動車などの性能向上に結びつく製品や部材の開発を目指した取り組みが続いている。
 高性能機器を使った材料研究としては、3次元アトムプローブ(3DAP)による原子スケールの材料組織解析で成果を上げている。3DAPは、華氏80度以下で針状試料に10キロボルトまでの高電圧を印加し試料最表面の原子をイオン化、脱離させて検出。元素ごとに検出器までの時間が変化することを利用し、元素の種類を特定する。電子顕微鏡では観察できない原子?数ナノメートルレベルの解析、測定を可能にする。
 2008年10月にはImago社(現CAMECA社)製装置を導入。焼き入れ処理後に室温を保持することで強度が高まる7000系アルミニウム合金を解析したところ、室温保持による高強度化に寄与する亜鉛原子とマグネシウム原子のクラスタを3次元サイズ分布で可視化することに成功した。元素による合金強化の高効率化につなげているという。
 世界的に資源高が進むなか、低品位の資源を有効活用できる同社の技術への注目が高まっている。低品位石炭のアップグレード技術である改質褐炭プロセス(UBC)は、高含水の褐炭から水分を除去し高品位炭である瀝青炭並みの高カロリー炭に変える。同研究所には石炭燃焼試験設備を設置しており、発電ボイラーなどで利用するためUBCの燃焼特性を事前に評価し品質向上につなげている。
 さまざまな音を正確に測定できる音響実験棟では、音の影響を考慮した研究開発が進む。国内で2番目に大きい大型半無響室は壁からの音の反射がなく、内部の音がまったく響かない。自動車や新幹線車両、建設機械の騒音測定に活用している。一方、残響室と呼ばれる施設は内部の音がよく響く。床、壁、天井が平行ではなく、どの位置、どの方向でも音の強さが均一なためで、自動車軽量化にともなう振動騒音防止技術や、ハウスメーカー向け高遮音鋼製床の開発に利用している。
 同社グループは、主力の鉄鋼事業のほかアルミ・銅、建設機械、環境、資源エンジなど多様な事業を展開している。最大の需要業界は自動車産業で、事業全体の約4割が何らかの形で自動車に関係する。同研究所では、車体の軽量化や安全性の確保など自動車メーカーから求められるハイレベルな技術要請に応える製品を開発している。
 その成果の1つが自動車用高張力鋼板(ハイテン)。同社は軽量化と高強度の両方を充足できるハイテンに早くから着目し、開発を進めてきた。現在ではシートレール用ハイテンで国内シェアの100%を握るなど、市場から高い支持を得ている。同時に自動車部材向けアルミ製品の開発も進展しており、車体軽量化に対する貢献度を高めている。

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