スズキは、自動車部品向け高機能ポリプロピレン(PP)材料を開発した。新材料はホモポリプロピレン(h-PP)をベースに水添スチレン系エラストマー(SEBS)を添加した2元系材料で、タルクなどの無機充填材を使用せずに従来材と同等の機械物性を実現したことが特徴。タルク添加量に相当する軽量化と透明性付与により無塗装化も実現している。従来材に対して「部品レベルの低コスト化が可能」(同社開発推進部 長島洋明氏)なことから、同社は実部品への適用を推進する。
 PPは安価で物性バランスや成形加工性に優れており、自動車樹脂部品における使用比率で4割超を占める主要材料。近年、自動車産業における軽量化ニーズの高まりを背景に低比重化が求められているほか、環境負荷物資や塗装コストの低減化ニーズに対して発色性や耐傷付き性の向上が課題となっている。
 既存のPP材料は、PP中にエチレン・プロピレンゴム(EPR)を混合したベース材に、エラストマーや無機充填材を添加することで、剛性や耐衝撃性などの機械物性を両立させた3元系が主流。低比重化や透明性の付与実現のために、結晶核剤など添加剤の改良やタルクに代わる無機充填材の開発などが取り組まれているが、透明性・剛性・耐衝撃性のすべてを満足した材料開発にはいたっていない。
 スズキの開発材は硬く脆いh-PPにエラストマーを添加した2元系で、曲げ弾性率1500メガパスカル以上、シャルピー衝撃強さ(23度C)が1平方メートル当たり30キロジュール以上とバンパーやトリムに使用可能な機械物性を実現した。
 タルクフリーによって低比重化を図っており、既存のPP材料をすべて置き換えると1台当たり「キログラムオーダーの軽量化が可能」(同)。また、透明性付与により3元系PPでは実現できなかった色の発現が可能であり、同社ではアルミ光輝材でシルバーメタリック色に着色した開発材料が、シルバーメタリック色塗装材と同等の光輝感を有していることを確認している。
 さらに、ベースにh-PPを採用したことで表面硬度が従来PPの2・6倍に向上していることも特徴の1つ。これにより優れた耐傷付き性を実現しているほか、「傷が付いてもタルクを使用していないので目立たない」(同)といった利点を有している。タルクフリー化によりウェルドラインの低減が可能となるなど成形性でも向上を図っており、自動車部品における早期実用化が期待される。
 開発材は、世界的に需給タイトなEPRを使用しないという面でも自動車部品におけるPPのさらなる使用拡大に寄与すると思われる。

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