トヨタ自動車は、貴金属の使用量を大幅に削減できるガソリンエンジン用の新触媒技術を開発した。エンジン特性に応じて触媒層を部位ごとに塗り分けるゾーンコート技術と、従来に比べてロジウム(Rh)の粒成長を抑制した新担体の開発によって実現する。新技術の適用によって、Rh量を45%低減するとともに、パラジウム(Pd)も「エンジン仕様に応じて使用量の低減が可能」(金属・無機材料技術部・触媒設計室の青木悠生氏)とした。同社は海外を含めて今年モデルから新触媒に順次切り替えていく計画。
 世界的な排ガス規制の強化を背景に、より効率的な排ガス低減技術の開発ニーズが高まっている。とくにガソリンエンジン用の排ガス浄化触媒は、新興市場を中心とする自動車生産の増加や非自動車分野への規制拡大から、触媒に使用しているRhやPdなどの貴金属需要が急増している。低コストを図るためにも、貴金属使用量を大幅に低減した新型触媒の開発が喫緊の課題となっている。
 新触媒技術は、触媒層のゾーンコート化と新規Rh用担体の開発によって貴金属使用量の大幅な低減化を可能とする。ゾーンコート技術は炭化水素(HC)を浄化するPd触媒を基材前段部に、窒素酸化物(NOx)浄化を目的としたRh触媒を同後段部に配置するとともに、基材の部位ごとに酸素吸放出材料の特性を適正化することを基本設計として、エンジン仕様に応じてコート長さを調整する技術。「軽自動車から大型車両まですべてのガソリンエンジンに対して有効」(同)なのが特徴。
 新開発のRh用担体は、Rhの粒成長を抑制するアルミナ拡散障壁導入技術を発展させた。新たにジルコニア(ZrO)担体の1次粒子表面に酸化ニオブ(NdO)の濃化層を形成し、Rhとネオジム(Nd)の強い相互作用により粒成長の抑制を強化。これにアルミナ拡散障壁を組み合わせることで、Rhの分散度を従来に比べて約3倍向上させており、2倍の触媒寿命を実現している。
 ゾーンコート技術と新担体を適用した触媒は、Rhの使用量を45%低減しても従来触媒に対して十分な優位性を確保しており、同社はモデルチェンジの際に新型触媒への転換を進めていく計画。また、ゾーンコート技術により「触媒設計の幅が広がった」(同)ことから、同技術をベースに排ガス浄化触媒のさらなる高性能化に取り組んでいく。

自動車関連ニュースの最新記事もっと見る