トヨタ紡織は、自動車内装用のケナフボードで、日系自動車メーカー向けにラゲッジ部を中心とした採用拡大に取り組むほか、天然材料の採用に熱心な欧州自動車メーカーへの提案も検討していく。従来のケナフボードに比べ4割以上の軽量化と、成形サイクルの大幅短縮を実現する新技術を開発。射出成形部品と同様のコストで内装部品を生産できることから、環境負荷を低減するケナフボードの内装材としての普及を加速していく。
 新技術は、バインダーに使用するポリプロピレン(PP)の改良による接合強度の向上や、プレス成形と射出成形の一体化などにより確立した。同技術によるケナフボードは、トヨタ自動車の次期「レクサスGS」で、ドアトリムおよび背裏ボードに採用されている。
 バインダーであるPPの一部には、ケナフとの接着性に優れた無水マレイン酸をPPにグラフトさせた変性PPを使用した。ケナフの接着強度が高まったことでボードの大幅な薄肉化を達成しており、重量は1平方メートル当たり1・5キログラムと初期のケナフボード(同2・4キログラム)と比較し4割強の軽量化を実現した。
 また、ボードの補強や他部品との接合のために取り付けるPP製の付属物との一体成形を実現した。従来は射出成形した付属物をプレス成形で得るケナフボードに接着剤で接合していたが、新技術ではプレス成形と射出成形を同時に行い、樹脂が高温で溶融した状態で接着剤なしで接合できる。
 このため、ケナフボードと付属物の接合面積を10分の1に縮小しても、なお2倍の接合強度となった。さらに、プレス成形を従来の縦型から横型に変更し、部材の取り入れと製品の取り出し時間を大幅に短縮。この結果、全体の成形時間は、通常の射出成形の30秒と比較しても短い20秒を実現した。
 ケナフボードは、国内自動車メーカー向けでは今後、表面の意匠性が問題にならない部位での採用が拡大すると期待している。このためトヨタ紡織は、射出成形部品と同等のコストを実現した新技術を武器に、ラゲッジ部などでの採用拡大に力を注ぐ。
 また今年6月、欧州の自動車内装材事業を買収したことで、天然素材の採用に関心の高い大手自動車メーカーとの取引が本格化したことを背景に、ドイツ系など欧州メーカー向けへの提案についても検討していく方針だ。

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