住友ゴム工業は、タイヤ開発における素材レベルの取り組みを加速する。新たに確立した独自のシミュレーション技術をベースに、分子構造まで踏み込んだ新材料開発を本格化するもの。来年2月発売の「エナセーブ プレミアム」では、住友化学と共同で新変性S?SBRを開発することで、国内ラベリング制度の転がり抵抗性能で最高ランクの「AAA」を実現した。同社では、さらなるタイヤ性能の向上には材料開発が不可欠とみており、独自技術を軸に素材メーカーとの連携を強化していく。
 高分子や金属などの材料特性は、その基本構造によって規定される。金属材料などの場合、組成や加工により組織構造をコントロールすることで材料特性を制御可能なため、材料開発における素材メーカーの占める割合が大きい。一方、タイヤに使用するゴム材料は、合成ゴムなどのポリマーに補強材や結合剤を配合した複合素材のため、個々の素材特性とともに素材間の関係が材料特性に大きな影響をもつ。そのため開発には各メーカーの連携が重要だ。
 住友ゴムが開発した新シミュレーション技術「4D ナノ デザイン」は、ゴム材料をナノレベルで3次元解析する技術。「Spring?8」と「地球シミュレータ」の活用により、化学反応などの経時変化を含むシミュレートを可能としており、これまでよりも大きい領域をナノレベルでの解析(大規模材料FEM)を実現している。同技術によるMD(分子動力学)シミュレーションでは、ポリマーおよびその変性基とシリカの挙動を3次元で観察・シミュレーションすることができる。
 エナセーブ プレミアムの開発では、シミュレーション結果をもとに住友化学の高精度な変性ポリマー技術を使って、変性基の位置と強度を最適化した両末端マルチ変性ポリマーを開発。また、シリカと結合剤の反応性を原子レベルで解析した結果から、モメンティブ パフォーマンス マテリアルズの耐熱高反応結合剤を選定し、同社従来品に比べ転がり抵抗を約40%低減を達成した。
 今回のナノ領域の可視化とシミュレーション領域の拡大により、材料を科学的・合理的にナノレベルで高精度に設計することが可能となった。同社では、世界最高の演算性能を有するスーパーコンピューター「京」の活用を念頭に、素材メーカーとの新材料開発を積極化していく。

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