車両軽量化材料として開発が活発化している炭素繊維強化プラスチック(CFRP)。欧州ではすでに1991年から市販車への採用が始まっており、2000年以降は国内でもルーフやエンジンフード、ボンネットなどに適用されるようになってきた。しかし、その高コストから「採用車種は1000万円以上の高級車が中心」(スバル技術本部・渡辺淳車体構造設計第二課長)となっており、軽量素材として一般的に普及するにはいまだ時間を要する状況。そうしたなか、富士重工業は限定車ながら「スバル インプレッサWRX STI A?Line tS」(車体価格税込み422万1000円)などでCFRP製ルーフパネルの採用を実現しており、現在でも量産車におけるさらなる適用拡大に向けた開発に取り組んでいる。
 炭素繊維に樹脂を含浸させたCFRPは軽量かつ高強度で剛性にも優れることから自動車分野ではアルミ合金に続く軽量素材として注目が高まっている。富士重工業は航空宇宙カンパニーにおいてCFRPに関する技術ノウハウを蓄積してきており、スバル インプレッサWRX STI A?Line tSなどでは同カンパニーとの連携により独自のCFRP製ルーフ(カーボンルーフ)を開発。このカーボンルーフを搭載した車体は、車両の軽量化とともに低重心化により回頭性の良いハンドリングなど走行性能の向上を実現している。
 ルーフの製造では、型に炭素繊維の織物をセットし、フィルムで覆い、真空にしながら樹脂を注入含浸して硬化させる成形法(VaRTM)を採用。CFRPの特徴である意匠性を生かすため、クリア塗装により炭素繊維をみせるデザインとしており「樹脂含浸時のわずかな繊維の歪みも不良となるため、樹脂の注入の仕方が難しかった」(同)という。また、車体への取り付けはボルト締結で衝突時の安全性を確保したうえで、接着剤を使用しており「締結部分は樹脂の座屈による弛みを防ぐため、金属部品をインサート成形」(同)して対応した。
 今後はコスト的な観点から高強度が求められる客室(キャビン)部分における骨格部材の補強材などより「加工度が低く形状・設計のシンプルな部品」(同)への展開が有望であり、車両の変形の仕方に応じて効果的に使用することで車体剛性の向上にも効果が期待できるとしている。
 また、将来的には意匠性を生かしてドアトリムと内装材との一体化により、自動車ドアを現在の3層構造から外板パネルとCFRPの2層構造に置き換えることなども可能とみているほか、成形法でも今回採用したRTM以外にも不飽和ポリエステル樹脂、炭酸カルシウムなどの充填材、その他添加物の混合剤を繊維に含浸した薄板を金型内で熱間プレスするSMCなども有望とみている。

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