産業技術総合研究所(産総研)は2012年度、タイで高品質バイオディーゼル燃料(BDF)の実車走行試験に入る。日本が主導した東アジアサミット推奨規格(EEBS)を満たすBDFで、今年度までタイで製造技術の実証試験を行っていた。現状の規格では、日本車に多い金属製燃料タンクが腐食する可能性が指摘されており、技術協力を継続することで新規格への移行を支援する。
 タイでは自動車燃料へ3%のBDF混合を義務付けている。しかし燃料の酸化によって金属製の燃料タンクが腐食する恐れがあるほか、スラッジの発生による故障も懸念されていた東南アジア諸国で日本車のシェアが高いこともあり、日本政府は07年の東アジアサミットで「エネルギー協力イニシアチブ」を提唱し、新たなBDF規格の制定を主導。08年にEEBSとして結実した。
 BDF酸化の原因は、多不飽和脂肪酸メチルエステルが酸素と結合しやすいため。しかし、これをすべて水素化してしまうと低温流動性が低下してしまう。そこで産総研では多不飽和脂肪酸メチルエステルを部分的に水素化する技術を開発。昨年2月からタイで、ジャトロファを原料とした日量1トン能力のBDF製造設備とともに、実証試験を進めていた。
 洪水の被害を受けたものの、EEBSと同時に、世界燃料憲章(WWFC)ガイドライン品質にも適合した酸化安定性に優れたBDFの製造技術を確立。12年度から、この装置で製造したBDFによる実車走行試験を開始することにした。
 プラスチック製燃料タンクが主流の欧州車はBDFによる腐食は課題となっておらず、酸化安定性に優れたBDFの開発は金属製タンクを中心とする日本車の高シェア維持への支援にもなる。また東南アジアのバイオディーゼルプラントでは、本国での製造実績がある欧州勢が有力だが、今回の開発には日本のプラントメーカーが参加しており、EEBS対応の進展が市場開拓加速の契機になることも期待される。

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