熱可塑性樹脂と炭素繊維(CF)のコンポジット材料(CFR?TP)。CFRPの軽量性と、射出成形による生産性・精密成形性を両立し、自動車の軽量化を達成する次世代材料として話題が集中している。実は、日本ではすでに量産車の大型部品として、このCFR?TPが2006年から本格採用されている。パイオニア企業として材料供給してきたのが、機能性コンポジット材料大手のダイセルポリマーだ。
 CFRPは、金属を代替する軽量部材として航空機分野で実績を重ね、さらに自動車分野への展開が始まっている。ただ、従来の熱硬化性樹脂を使用してプレス成形などで成形するCFRPは、成形サイクルの長さなどからコストが高く、採用は一部の高級車向けにとどまっている。
 ダイセルポリマーのCFR?TPは、同社の長繊維強化材料「プラストロン」技術により、繊維の補強効果を極限まで引き出した熱可塑性材料。射出成形による高い量産性と形状の自由度に加え、長繊維を使用することで従来のCFR?TPの弱点だった機械物性(強度)も大きく向上させた。
 日系大手完成車メーカーが06年から、フロントエンドモジュールの大型部品であるラジエーターコアサポート向けにポリプロピレン(PP)にCFを20%配合したプラストロン CFR?TPを採用。その後、複数の車種に採用を拡大させてきた。
 完成車メーカーがCFR?TPを採用したのは、当初は操縦性の向上が目的だった。後輪駆動車の場合、フロント回りの大型部品を軽量化して荷重を低減すれば、前後の重量バランスが改善され、走行性能が向上する。
 一方、近年になって、軽量化による燃費向上ニーズの高まりを背景に、前輪駆動車でもCFR?TPを採用する動きが始まっている。プラストロン CFR?TPは、ガラス繊維強化PPと比較しても約5割もの大幅な軽量化が実現できる。ダイセルポリマーは完成車メーカーと共同で、14年ごろに発売される新車のドアやバックドア回りなどの大型部品向けとして、複数の車種で採用に向けた開発に入っているという。
 また、自動車の電装化によるノイズ源に対応するソリューションとしてもプラストロン CFR?TPの提案を強める。CFR?TPが持つ導電性や、ナイロン、環状ナイロン、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂など、PP以外の各種熱可塑性樹脂に対応している特徴を生かす。
 軽量化と導電性など、複数の機能を同時に発揮することでCFR?TPのコストパフォーマンスは一段と向上する。ダイセルポリマーは同材料の先駆者として、2次電池のカバー部品や電装回り部品などへの採用拡大を推進することで、さらなる事業拡大に挑む考えだ。

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