三菱レイヨンは、炭素繊維・複合材事業で自動車を含む一般産業用をさらに強化する。高性能ラージトウでこれまで優先して生産していた風力発電翼向けの60K(1K=炭素繊維1000本)だけでなく、より汎用的に使える50Kを拡販するためサンプリングを開始した。急速に技術開発が進みつつある自動車構造材での採用拡大を目指す。一方で加工技術も強化しており、独自成形技術であるPCMや、三菱ケミカルホールディングス(MCHC)内での研究開発も加速する。
 三菱レイヨンは、アクリル長繊維を原料とするPAN系炭素繊維「パイロフィル」と、クロスやプリプレグなどの中間材料や成形加工品を展開している。高性能ラージトウ「P330シリーズ」は、同社の高強度炭素繊維と同等の性能を保有し、かつフィラメント数を5万?6万に大型化させた製品。従来のスモールトウと比較して、大型成形品に適した加工性を持ち、かつ高強度、高弾性の特性を実現している。
 P330は昨年6月に大竹事業所(広島県大竹市)に年産2700トンのラインを新設。高稼働率を維持している。これまで風力発電翼向けに適した60Kをメインに生産していた。今後さらに一般産業用を強化するため、より汎用的に使用できる50Kのサンプリングを開始した。
 自動車向けの加工技術も強化する。三菱レイヨン独自のPCMは、150度C・2分で成形できる速硬化プリプレグ・プリフォーム技術。熱硬化性樹脂を使用した炭素繊維強化樹脂(CFRP)のなかでも表面の仕上がりが良好で後加工が少ないため、トータルコストを低減できる。自動車の外板向けで使用できるめどもついてきているという。
 さらに、次世代の量産車向けに不可欠とされる熱可塑性樹脂との複合化では、MCHCグループ内での三菱化学と最適な樹脂素材の開発、クオドラント社とはスタンパブルシートの開発を進めている。クオドラント社はガラス繊維マットにポリプロピレン(PP)を含浸させたスタンパブルシートの大手で、欧州自動車メーカーでの実績がある。製品の開発だけでなく販売ルートの面でも強みとなるとみている。
 また、自動車メーカーとの共同開発を進める一方で、独自の加工技術やMCHCグループ内での研究開発を加速し、一次構造材への採用を目指す。

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