三協マテリアルは、等方性を有するマグネシウム合金の生産を開始した。マグネシウムは結晶構造に異方性があるため、一般的に加圧方向によって機械的特性が異なるという性質を持っている。新たに提供を開始した新合金は、自社製鋳造ビレットを鍛造加工することで縦・横方向の機械的特性をほぼ同等に揃えたもの。200メガパスカル程度の引っ張り強度を実現しており、ダイカスト部品の試作用切削材や特殊用途向け素材としての需要を見込む。同社では、材料開発を通じて国内マグネ市場の拡大に取り組んでいく方針。
 マグネシウムは、稠密六方構造と呼ばれる結晶構造をしており、その変形機構は底面、柱面、錐(すい)面に平行な3つのすべり系と双晶により構成される。このうち常温における錐面すべりは他の変形機構よりも非常に変形しにくく、これが異方性の原因となっている。現在、商業生産されているマグネシウム合金は、大別して押出材を含む圧延材と鋳造材の2種類ある。圧延材はその製法から異方性を有するほか、鋳造材も冷却の時間差から表面側と素材内部で機械的特性に差が出ることから、これまでに等方性のマグネシウム合金を事業化した例はみられない。
 三協マテリアルは、アルミニウムおよびマグネシウムの鋳造・押出・加工を軸に事業を展開する三協・立山ホールディングスのグループ会社。マグネシウムに関しては冷却水による急速凝固で金属組織を微細化する独自製法により、世界で初めて連続鋳造で微細な金属組織を均一に形成することを実現。すでに同製法による量産体制を整備し、アルミ合金(6N01合金)並みの機械的特性をはじめ、鍛造プロセスの低温化や高速化、部品の複雑形状化を可能とするマグネ合金を事業化している。
 提供を開始した等方性マグネ合金は、この鋳造材をベースに開発したもので、3方向から鍛造加工を施すことで異方性を改善した。すでにAZ80の直径350ミリメートル×150ミリメートルおよび縦310ミリメートル×横310ミリメートル×高さ150ミリメートルを標準品に、ユーザーニーズに応じて材質およびサイズで対応可能な体制を整えており、マグネダイカスト部品の試作用切削材をはじめレーシングカー用軽量部品といった特殊用途での需要を見込んでいる。

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