高い教育水準や恵まれた研究開発環境を土壌に、独自技術や技術開発力をベースに高成長を続ける企業もオーストリアの自動車産業の特徴だ。TTTech オートモーティブは、ウィーン工科大学で開発されたタイムトリガード技術をベースに電子装置ネットワークの信頼性向上を実現するためのソリューションビジネスを展開。独自のアルゴリズムに基づき半導体から部品・装置、ソフトウエアまでを開発・製造しており、ボーイング787の電源管理システムに採用された実績を有するほか、主力の自動車分野ではアウディやボルボにシステムを提供している。
 EU域内はもとより日本や北米、韓国などの自動車メーカーも同社の顧客となっており、近年のシステム制御の高度化ニーズの高まりを背景に年率30%で事業規模を拡大中だ。新たに開発した試験車両用のデータ記録システムは、100に及ぶ各種制御装置のデータ記録を可能としており、効率的な新車開発を実現するツールとしてグローバルに展開していく計画だ。
 世界最大のパワートレインエンジニアリング会社のAVL リストは、保有する技術ノウハウや最先端の開発ツール・設備を通じて高性能動力システムの開発支援をグローバルに展開中。60年余りの歴史を有し、30カ国以上に専門のカスタマーサポートチームを展開する同社もオーストリアを発祥の地としており、すでに同社の高性能エンジンテストベッドは世界中で5000以上のシステムが稼働している。
 グラーツ市にある本社では、独自に次世代環境車の駆動システムとして低コストと高効率を可能とする2気筒エンジンにモーター付きトランスミッションを組み合わせたハイブリッドエンジンや、ロータリーエンジン製レンジエクステンダー(発電機)の開発も進めている。同社では今後も優れた技術開発力をベースに事業拡大を推進していく計画であり、日本でも2013年には川崎市に世界13カ所目となるテクニカルセンターを立ち上げる。
 同国にある3つの自動車産業クラスターは、研究開発テーマの調整を図りつつ互いに競い合いながら技術基盤の拡充を図っている。また、DICが物流や地理的優位性をはじめオーストリア品質に対する欧州での評判などを理由に、ウィーンでPPSコンパウンドの新工場建設を進めるなど市場の将来性を見込んで投資は拡大基調にあり、11年度も前年比34%増と増加している。政府系投資誘致機関であるオーストリア経済振興会社(ABA)のヴィルフリート・グンカ国際担当取締役は、「バリューチェーンの中には樹脂分野など入り込む余地がある」と語る。

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