住友金属工業は、材料特性を最大限活用することで自動車用鉄鋼部材の高性能・軽量化を推進する。材料・設計・工法の技術連携により、軽量化や部品省略による低コスト化を追求するもの。クラッシュボックスなどでは、高効率形状への設計変更により同一素材で約30%の軽量化が可能であり、材料などの知見をベースに独自の構造設計を提案することで市場ニーズへの対応を強化する。同取り組みについては完成車メーカーの評価も高く、10月発足の新日本製鉄との新会社でも自動車分野の差別化技術として展開していく方針。
 自動車用鋼板の高ハイテン(高張力鋼板)化が進むなか、これまでに比べて材料強度の向上が図られる一方で、成形加工性や溶接性といった面では特性が低下する傾向にある。そのため従来構造の部材への適用では、こうした制約により材料特性を生かし切れていないのが実情だ。
 他の軽量素材の実用化研究が進むなか、ハイテンの優位性を維持するためには材料開発とともに材料特性の活用法の向上が必須。すでに世界鉄鋼協会が実施した次世代鋼製環境対応車(FSV)プログラムでは、設計の最適化によりハイテン比率を97%まで高めることで、安全性を確保しつつボディー重量の35%軽量化を実現している。
 住友金属が昨年から本格的に開始した「材料特性使い切り」の取り組みは、求められる強度性能を部材ごとに分析し、材料特性をベースに荷重分担効率や塑性仕事量などの観点から理想形状・最適構造を提案するもの。同時に、成形法などそれを実現するための関連技術も提供することによって、さらなる採用拡大につなげるのが狙い。材料特性、構造設計および工法の総合的な観点からの部材開発は珍しく、昨年の取り組み開始以降、着実に採用を拡大させている。
 同社では提案活動を活発化する一方、低コストな半閉断面(開断面パネルのスポット溶接)で材料特性を考慮した構造設計の開発に取り組むとともに、効果が大きい閉断面化では加工技術の高度化を推進する方針。また、基盤となる材料特性の向上についても引き続き取り組むことで、高ハイテン化とそれによる車体軽量化に貢献していく考えだ。

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