東京工業大学と豊橋技術科学大学の共同研究グループは、ナノサイズのセリア?ジルコニア触媒の構造を解明した。ナノ結晶の対称性(正方晶系)が高温でも維持されることが判明。自動車排ガス浄化用などとして、実際に触媒が働く高温下でも構造が変化しないので安心して使える。粒子径が数百マイクロメートルオーダーのバルク試料だけで分かっていた原子スケールでの構造と活性の関係をナノ試料でも明らかにした。自動車排ガス浄化用触媒では、排ガス中の物質を効率的に処理するため、酸素を円滑に出し入れできる機能が重要。今回、セリア-ジルコニア触媒が酸素を吸蔵・放出するステップの1つを原子スケールで実証した。
 自動車排ガス浄化用として広く利用されているセリア-ジルコニア(Ce0.5Zr0.5O2)触媒は、50モル%の酸化セリウムと50モル%の酸化ジルコニウムが原子スケールで混合・複合化したもので、白金の助触媒となる。粒子サイズは数百マイクロメートルだが、ナノサイズ化することで比表面積が拡大し、触媒活性が高まる。
 約10ナノメートルのセリア-ジルコニアにおける正確な結晶構造は、室温だけで解析されてきた。従来はX線回折を用いていたため、ナノセリア-ジルコニアの正確な構造が分かっておらず、1073-1123ケルビン(0ケルビンはマイナス273度C)で正方相から立法相への転移が起こるという誤った報告があった。今回、中性子回折によって酸素の変位量を正確に決定。実際に触媒が働く1176ケルビンまで正方相であることを実証した。
 セリア?ジルコニアの酸素イオン伝導度はあまり高くないため、従来の最大エントロピー法(情報理論に基づき、未観測データを最も確からしく推定する解析法)では接続した経路を可視化できなかったが、結合原子価の総和を応用して接続した経路を初めて可視化できた。
 熱安定性や相安定性、バルク試料との構造の違い、酸化物イオン拡散に関する基礎知識が得られたため、自動車排ガス浄化用、燃料電池用、環境浄化用などの触媒開発にすぐにでも生かせると期待。また、この手法は他の触媒など多くのナノ材料の構造と物性を調べる際に応用可能としている。

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