自動車排ガス触媒における低貴金属化の取り組みが加速している。NEDOの希少金属代替材料開発プロジェクトでは、鉄化合物に酸素吸蔵放出材料を担持した新触媒材料や白金族使用原単位の半減を可能とする低減化技術の開発を推進中。すでに大型ディーゼル向けでは実車による耐久試験が進められている。自動車生産の拡大や排ガス規制の強化を背景に、将来的な白金族金属の需給ひっ迫が予想されるなか対応技術の早期確立が求められる。
 クルマの排出ガス浄化触媒にはプラチナやロジウム、パラジウムといった貴金属が使用されている。これら貴金属の表面で化学反応させることで排出ガスに含まれる窒素酸化物や一酸化 炭素、炭化水素を窒素や水などに分解するためだ。自動車向け触媒の市場規模はプラチナ、パラジウムともに総需要量の65%近いシェアを占める
 触媒の低貴金属化の取り組みは、新興市場を主とする自動車生産の伸びによる需要拡大やコスト上昇への対応を目的としたもの。すでに国内自動車各社では独自技術の開発により使用量の低減化を進めている。しかし、環境規制は世界的に強化される方向にあるほか、国内ではクリーンディーゼル車の普及の兆しや建機など非自動車分野への規制拡大などからディーゼル用触媒技術の開発が急務となっている。
 NEDOでは、非鉄金属資源の代替材料および使用量低減技術の確立を目的に希少金属代替材料開発プロジェクトを推進中。自動車触媒はディスプレイ用透明電極や磁石、超硬合金などともに研究開発テーマの一つとして位置付けられており、日産自動車、電気通信大学、名古屋大学および早稲田大学が他元素による白金族代替技術や外部デバイスによる反応促進技術の開発を、三井金属、水澤化学工業、産総研、九州大学および名古屋工業大学が大型ディーゼル車を対象とした白金族低減化技術の開発に取り組んでいる。
 代替技術では、すでに鉄化合物を数十ナノメートルに微粒子化し、酸化セリウムなどの酸素吸蔵放出材料を担持することで白金触媒とほぼ同等の触媒性能の発現ができることを確認済み。また、プラズマ添加により数百度以上の高温が必要なNOxの浄化反応を150度Cでも可能であることを見いだしている。現在、グライディングアーク法によりハニカム触媒の内部にプラズマを添加する方法を検討するなど車両搭載を見据えたシステムの開発を進めており、触媒仕様の改良などと合わせて早期実用化を目指す。
 一方、大型ディーゼル車向けの取り組みではアルミナ系触媒担体や活性種に関する要素技術の改良により白金族金属を大幅に低減した触媒の開発に成功。また、DPF用触媒でも活性と耐久性に優れた銀?パラジウム合金触媒を開発しているほか、ハニカムコーティング技術の深化により触媒システム全体で従来の市販品に比べて大幅に低減できる目途を得ている。すでに実車による評価試験を進める一方、実用触媒製造技術の確立段階に入っており、オフロード車や船舶などディーゼル車以外への適用も視野に開発を推進する計画だ。

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