住友ゴム工業は、耐摩耗性能を向上したタイヤ用ゴムコンパウンドを開発した。独自の材料開発技術をベースに、新たにポリマーとの絡みを増やす最適なカーボン構造を設計した。ナノレベルで形状制御した新カーボンはポリマーとの接合強度を従来に比べ10%程度高めており、転がり抵抗を損なうことなく耐摩耗性を向上できる。新コンパウンドをトレッドゴムに採用した新製品「エナセーブ SP688」では、同社従来品に比べ転がり抵抗で34%、耐摩耗性で20%の性能向上を実現している。
 一般的にゴム製品の摩耗は、変形により互いに絡み合っているカーボンからポリマーが剥がれ落ちることで起こる。耐摩耗性向上のためにカーボンを増量するとカーボン同士の摩擦によって発熱量が増え、これがエネルギー損失となり転がり抵抗を悪化させてしまう。耐摩耗性(タイヤ寿命)と転がり抵抗(燃費性能)は背反する性能で、この両立がタイヤ開発の主要テーマの1つになっている。
 住友ゴムの材料開発技術「4D ナノ デザイン」は、ゴム材料をナノレベルで3次元解析する技術。化学反応などの経時変化を含むシミュレートを可能としており、これまでよりも大きい領域をナノレベルで解析できるのが特徴。同技術による分子動力学(MD)シミュレーションでは、ポリマーおよびその変性基と配合材の挙動を3次元で観察・シミュレーションすることができる。
 新コンパウンドは新たに設計した新カーボンの採用により転がり抵抗と耐摩耗性を両立したのが特徴。ナノレベルの形状制御で変形によるエネルギー損失を増やすことなくポリマーの固定化に成功しており、新カーボンとポリマーのシミュレーション解析でも従来以上にポリマーがカーボンの中に入り込んでいる様子を確認ずみ。同社はシミュレーション解析の結果からより一層の特性向上が可能とみており、今後もサプライヤーとの連携による原材料の量産技術を含めた製品の高度化に取り組んでいく考え。

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