産業技術総合研究所と宮本工業(栃木県)は、マグネシウム合金の低温鍛造技術を開発した。新技術は、鍛造素材の微細組織を結晶粒径10マイクロメートル以下に制御し、サーボプレスを用いて5~10ミリメートル/秒の低速で鍛造するもの。この技術の適用により400度C以上の鍛造温度を200度C以下に低くすることが可能だ。低温化によって、除去が容易な水溶性潤滑剤も使用できることから、マグネ合金製鍛造部材の低コスト化や生産性向上が期待される。
 マグネ合金は、固有の発火性をはじめ耐食性や塑性加工性の不足といった問題や、高い材料コストや加工・製造コストがネックとなりアルミ合金に比べて普及が遅れている。これまでに実用化されたマグネ合金部材のほとんどが鋳造によるものであり、用途分野拡大のためには寸法精度や部材強度、生産性などの面での向上が不可欠。鍛造技術は品質および生産性に優れており、需要業界からその技術確立が求められている。
 開発した鍛造技術は、鍛造加工中に起こる動的再結晶という微細組織の変化を積極的に利用したもので、結晶粒の微細化工程と成形工程を分けた2段階で鍛造を行うのが特徴。具体的には、平均結晶粒径が100マイクロメートル以上のブランク材を、300度Cで据え込み圧縮することで結晶粒径を微細化し、それを素材に低温かつ低速で鍛造成形する。
 市販のAZ31合金とAZ61合金を用いた試作鍛造では、微細化処理より結晶粒径はAZ31合金で5マイクロメートル(一部に10?20マイクロメートルの領域あり)以下、AZ61合金で10マイクロメートル程度であることを確認。また、微細化処理後のブランク材を用いた成形工程では、鍛造温度100度C、150度C、200度Cのいずれの場合も49本のピンの高さが揃った健全な角ピンヒートシンク(30ミリメートル角×厚さ3・5ミリメートル、角ピン部2ミリメートル×高さ8ミリメートル)を製作することができた。
 今後、産総研と宮本工業はカルシウムを添加した難燃性マグネ合金などに対する鍛造温度低温化の可能性を検証していく計画。

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