ブリヂストンが独自のタイヤプリント技術の本格事業化に乗り出す。新たに「COLORSIDE(カラーサイド)」と名付け、専用ロゴによるブランド展開をスタートするもの。第1弾商品として低燃費タイヤブランド「ECOPIA」でラベリング制度の最高グレードを有する「ECOPIA EP001S」と、電気自動車専用タイヤの「ECOPIA EV?01」にカラーリングを施した製品を追加し、来月から全国販売を開始する。乗用車タイヤにファッション性という新たな価値を創造できるか、取り組みが注目される。
 タイヤ用ゴムには、強度や耐久性を確保するために補強材としてカーボンブラックが添加されており黒色をしているのが一般的。カラータイヤとしてはタイヤサイド部に白いゴムを採用したホワイトリボンタイヤやホワイトレタータイヤなどがあるが、白いゴムは価格が高く転がり抵抗などの性能が劣るほか、変色を防ぎ耐久性を確保するために多くの白いゴムを使用する必要がありタイヤ質量が増加するという課題を抱えている。
 カラーサイドは、変色の原因であるゴムに含まれる老化防止剤の表面への染みだしを防止するため、透過抑制ゴム+透過ブロッカーでペインタブルゴムを新たに開発。また、伸縮性・接着性・耐外傷性に優れるアクリル系UV硬化樹脂インクを採用するとともに、同一個所を複数のノズルで印刷するマルチパス方式と1画素に対して吐出するインクドロップ数を制御するマルチドロップにより高精細な印刷画質を実現した。
 印刷面はペインタブルゴム表面に白インクで下地層を形成し、その上に3原色(赤・青・黄)でカラーリングしたのちに保護層で覆った4層構造をしている。タイヤも印刷個所のゴム素材をペインタブルゴムに置き換えた専用タイヤが必要だが、白いゴムを使用する場合と異なり部分的な素材変更のためタイヤ性能そのものへの影響がない。
 事業化にあたり開発した印刷装置は、印刷と保護層形成の2工程をバーコードによるデータ管理により全自動化を実現。印刷工程では上下からリムを組み、内圧をかけることでタイヤ表面の形状を確保するとともに、印刷直後にUV照射することでインクを硬化させる。1本当たり要する時間は印刷面積や色数によって異なるが、7月から発売する製品のデザインで保護層形成までの所要時間は3分程度だ。
 カラーサイドタイヤが普及するための課題は商品価値の浸透と印刷の耐久性の2つ。同製品はパソコン上でみるデザインとタイヤに印刷したものとは受ける印象が違うほか、タイヤ単体と装着した場合でも大きく異なる。そのためメーカーとしてタイヤデザインに関するノウハウの蓄積や一般消費者が装着した際のイメージが分かり易い提案の仕方を構築していく必要がある。耐久性はもう一段の向上が求められる。タイヤは接地面に近いほど走行時の変形が大きく、時速50キロメートルで10分間走るだけで約4000回の伸縮を印刷面は繰り返すことになる。発売する製品は事前のマーケティング結果もあり印刷部分が変形の小さいタイヤ中心部となっているが、同技術の特徴を活かすためには実用レベルでより広範囲の印刷を可能とすることが大事だろう。
 すでに自動車メーカーからは新車用タイヤへの適用を要望されており、同社でも光反射やスリップサイン表示などユニバーサルデザインや企業のロゴデザイン、一般ユーザーのニーズに応じたカスタマイズなどの事業展開を想定している。タイヤショップでの印刷を目的とした小型印刷装置の開発にも着手しており、差別化商品として育成していく考えだ。

自動車関連ニュースの最新記事もっと見る