自動車や情報家電分野を中心に、軽量化によるCO2排出量の抑制やLCA原単位の改善から注目されているマグネシウム合金。世界的にも次世代軽量素材として応用研究が活発化しており、国内でも企業や研究機関が用途分野拡大を目的とした取り組みが進められている。21日に行われた日本マグネシウム協会の技術講演会では、戦略的基盤技術高度化支援事業の一環として岡山県地域で実施された研究プロジェクトの取り組みが発表され、カーボン添加した合金開発やリサイクルシステムの開発成果が紹介された。
 岡山県で実施した「フォトニクスを用いた高性能マグネシウム製品のクローズド製造プロセスの創成」研究は、岡山県産業振興財団を中心に3社2研究機関が参加し、新たなマグネシウム合金の開発からチクソ成形加工、表面処理、さらにはリサイクル技術の開発を行った。
 カーボン添加した新合金は、Caなど特定の金属元素を添加した既存の難燃合金の表面処理性の改善を目的としたもの。バージンチップ(AZ91D・4ミリメートル)を母材にチップ表面にカーボンブラックを0・1%修飾した射出成形材料。チクソ法による成形では縦200×幅100ミリメートル、肉厚2ミリメートルの平板において化学組成の偏析があるものの、バージンチップと同等の成形性を確認。とくに、カーボンよる表面修飾により流動性は大幅に向上しており、全溶解成形時における巣の発生や不良発生率を抑制することを明らかにしたほか、実製品において最薄部0・3ミリの成形に成功している。
 また、0・2%耐力ではバージンチップにみられるバラつきが減少するとともに、10?20メガパスカル向上することや成形条件の最適化により平均180メガパスカル超の実現可能との結果を得ている。腐食性に関しては、カーボンの有無による耐食性の影響は認められなかったほか、開発した特殊前処理と陽極酸化処理により、塩水噴霧試験による耐食性500時間を達成。リサイクル性についても再溶解実験により通常のAZ91Dとして再利用できることも確認している。
 一方、レーザー光を利用したリサイクル技術では、短パルス照射によるスクラップ表面の付着物除去で、加工スクラップからの再溶解材と同等の化学成分と耐食性を市中スクラップで確保することに成功。新技術の採用により合金1トンをバージン原料から製造する場合と比較して、排出CO2量で95・9%、エネルギー消費量で89・3%の大幅な削減が可能になるとの試算結果を得ている。
 技術講演会では、同協会が国内外のマグネシウム産業に関する動向を講演。マグネシウムの世界需要については12年が前年比3%増の71万6000トンで、これが中国(11・5%増)を主とする世界的な需要拡大により21年に130万トンまで拡大するとの調査会社の報告を紹介。とくに用途別では自動車用ダイカストが50万トン規模まで成長する見込みだ。また、各国における研究開発では、韓国においてマグネ合金製のルーフやシートフレームの大型自動車部材の開発が進んでいる状況を報告し、着実にマグネ合金の用途分野拡大が進んでいること説明した。

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