インモールド成形を応用した樹脂製品の高付加価値化の取り組みが進んでいる。吉田テクノワークス(東京都墨田区)がインサート成形との組み合わせによるガラスインサートインモールド(GIM)を液晶パネル向けに展開する一方、大栄工業(和歌山市)では蓄積したノウハウをベースにこれまで難しかった立体成形や素材の貼合成形などを可能とする独自技術を新たに確立した。加工技術は材料技術とともに用途拡大の重要な要素であり、その動向が注目される。
 インモールド成形とは、デザインが印刷されたPET原反を金型内に挟み込み射出成形と同時に加飾する成形方法。自動車部品や家電部品などに用いられており、他の成形法に比べてリードタイムの短縮化や工程数が少なく歩留まりがコントロールしやすいといった特徴がある。
 吉田テクノワークスが液晶パネル向けに採用拡大を目指すGIMは、インモールド成形とインサート成形を組み合わせた成形技術。金型内にガラスを設置し、インモールド成形により金型内でガラスの貼り付けと加飾を成形と同時におこなう。組み立て方式で別工程に分かれている成形、塗装、組み立てが1工程で完了することから、大幅な生産効率化が可能だ。
 引っ張り接着強度は40ニュートン以上(引っ張り速度50ミリメートル/秒)を確保しているほか、近年進むフレームのスリム化に対応可能。また、加飾可能なパターンもマット調や柄をはじめ蒸着、ヘアライン、カーボン調、文字入りなど多岐にわたる。すでに携帯電話などで採用実績があり、同社では携帯端末をはじめとしたパネル市場の拡大を背景に提案活動を活発化させていく考えだ。
 一方、大栄工業は独自のノウハウをベースに技術の高度化を推進。新たに特別な設備・装置を使わずにこれまで困難だった加工を実現した。突板のインモールド立体成形技術(DW?IMD)は、加圧による破れなどでほとんどフラット面しかできなかった本木で絞りを可能としたのが特徴。竹などにも応用でき、感触を重視した表面仕上げができるほか、透明樹脂を用いることでコーティングの代替も可能。高級車の内装材として採用されている木目調の部材などでの採用が見込まれる。立体成形では特殊な金型や真空引き、加熱装置などを用いない転写フィルムの立体成形(DN?IMD)を開発しており、金属箔・木目箔と柄転写を組み合わせた加飾成形も可能としている。
 また、織物や和紙、革といった素材の貼合成形(DM?IMD)は、裏面まで巻き込む(巻き込み成形)ことや表面と裏面の素材を変える(両面加飾成形)ことができるのが特徴。従来法では金型内で成形できなかったが、これを可能とすることで多様な素材を生かした製品が実現できる。同社では、従来法と同等以下のコストでこれら技術を応用した製品を提供する考えであり、積極的な取り組みを通じて他社との差別化を推進する。

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