新興国のモータリゼーションを背景に拡大する自動車産業。電気自動車や燃料電池車といった次世代環境車の開発・実用化も進んでおり、メーカー各社は成長分野の一つと位置付け展開を強化している。新興メーカーの台頭やビジネスチャンスを狙う新規参入など競争が激しさを増すなか、市場におけるプレゼンスの維持・向上を目指す各社の取り組みを追う。
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 ブリヂストンは、花王と開発した100%植物由来原料からなる新シリカ分散剤への転換を推進する。シリカはタイヤの低燃費性とウエットグリップ性を高次元で両立するために必須な充填剤。新分散剤は界面制御技術の応用により従来比約2倍のシリカ吸着量を実現しており、今後投入する新製品において化石資源を原料とする従来型分散剤からの置き換えを進める。長期環境目標では2050年以降の早い段階でタイヤ原材料を再生可能資源へ全面転換する方針を掲げており、拡大するタイヤ需要を背景に原材料のサステナブルマテリアル化で先行することで市場における優位性を強化する。
 11年に策定した長期環境目標では、資源需要の増大を念頭に「持続可能な」社会の実現を目指した事業構造の改革を推進中。重量半減を目指すハーフウェイトコンセプト(省資源化)や耐久性向上といった原材料の使用量削減をはじめ、再生ゴムの利用、リトレッド技術などの資源循環技術や再生可能資源の拡充に取り組んでおり、再生可能資源の拡充ではグアユールなどパラゴムノキを代替する天然ゴム資源の実用化研究を進めている。
 アプローチの柱の一つとして取り組んでいるのが、使用原材料の化石資源から再生可能資源への転換。12年に100%サステナブルマテリアル化を実現したコンセプトタイヤを発表するなど技術的には可能であり、現在は事業化に向けてコストや供給面、社会や環境に与える影響を考慮した独自技術の研究開発を推進中。素材開発では各種条件をクリアするコンセプトを策定し、物質をナノスケールでみる(観察)、解く(解析・シミュレーション)、操る(制御)ことを可能とする独自の材料技術「Nano Pro?Tech(ナノプロテック)」をベースに取り組んでいる。
 新シリカ分散剤は、花王の持つ界面制御技術を応用することで原料転換と大幅な高性能化を実現したのが特徴。これまでのポリマー末端に反応性官能基を付加する末端変性ポリマー技術に対し、シリカ表面の親疎水性を制御する新たな手法の導入により多量のシリカを高度に分散することが可能。すでに低燃費タイヤ「ECOPIA EX20」で採用しており、グローバル供給が可能なことから乗用車用をはじめトラック・バス用や建設機械用タイヤに採用を拡大していく計画。単なる原料転換ではなく高性能化をともなうことから、「いったん採用すれば従来型分散剤に戻ることはない」(同社)。
 現在、加硫促進剤や老化防止剤といったゴム薬品をはじめ、バイオマス由来のポリマーやカーボンブラック、補強繊維用に新セルロースの連続マルチフィラメント紡糸技術などの開発を進めている。同社では開発が完了でき次第、事業化していく方針であり、積極的な取り組みにより事業競争力を強化していく。

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