八千代工業は、成形技術の高度化とモジュールベースの製品開発により樹脂製燃料タンクのさらなる低エミッション化を急ぐ。世界的に強まるHC(炭化水素)透過規制や設置スペースの狭小化などを背景に高まる高性能・複雑形状化ニーズに対応する。HC透過規制では米国カリフォルニア州でLEV?への段階的移行がスタートしたほか、中国では大気汚染対策として北京市を対象にLEV?同等の規制導入が検討されている。同社は環境対応で先行し製品の優位性を強化していく。
 同社は燃料タンクとサンルーフを2本柱に自動車部品事業を展開している。燃料タンクはエチレンビニルアルコール共重合樹脂(EVOH)や高密度ポリエチレン(HDPE)など4種類の樹脂を6層に構成した「4種6層」タンクを国内で初めて製品化した実績を持ち、生産量のすでに9割が樹脂製となっている。日本と米国に研究開発センターを設置するほか、製造拠点は国内を含めて世界8カ国で11拠点を展開しており、樹脂タンクで世界トップ5の一角を占める事業規模を構築している。
 同社の強みは、バリア層となるEVOHで、通常タイプと透過抑制性能を向上させたLEV?規制に対応可能なオリジナルタイプの2種類を有していること。競合他社では製造プロセスの改良によりLEV?規制に対応しており、設備装置の更新や金型製作といった投資が必要。八千代工業はEVOHの変更で規制強化に対応できることから、中国で規制強化が実施された場合でもコストをかけず迅速に対応できる。
 さらなる低エミッション化の取り組みは、低床プラットホームの普及拡大や車載システムの充実化を背景とした燃料タンクスペースの狭小化に対応している。モデルチェンジごとに燃料タンクの設置スペースを確保するのが難しくなっており、容量確保を目的にタンク形状は複雑化している。それにともないエンジンへの安定給油を目的にポンプやチューブ、バルブといった付帯部品も増加しているほか、ハイブリッド車やアイドリングストップシステムの普及による静粛ニーズの高まりから揺動音低減を目的とした波消し板などが搭載されるようになっており、こうした後加工の増加は低エミッション化のマイナス要因となっている。
 成形技術ではタンク構成部品や波消し板などをあらかじめ内蔵して成形するインタンク(シップインボトル)法の高度化を推進中。取り付けのための後加工を省略して加工個所からの漏れを最小限に抑制するもので、「既存技術にプラスαを付加する」(同社)ことで他社に対する優位性を確保する。また、給油口やキャニスター、燃料パイプといった周辺部品を含めたモジュール化の取り組みでは、サプライヤーとの連携により各部品の知見ノウハウを製品開発に取り込むことでモジュールベースでの小型・高性能化や提案力向上につなげる。すでに主要自動車メーカーを中心にモジュール化の動きが強まっており、積極的な取り組みを通じて事業規模の拡大を目指す。

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