河西工業は、ウェルドレス原着成形でメタリック塗装品質を可能とする独自の射出成形技術を開発した。ナノコンポジットポリプロピレン(PP)のベース技術と保有する知見・ノウハウなどの応用により、これまで困難だった高輝度・高光沢なメタリック部品の原着化を実現している。無塗装化により自動車内装品の耐久性や環境性能の向上、低コスト化が可能となり、すでに量産車への採用が決まっている。今後も加工技術の高度化を通じて市場における優位性を確保していく。
 河西工業は自動車用内装トリムシステム部品の企画・開発から生産までを一貫して手掛ける独立系部品メーカー。近年は内装システムへの照明機能の取り込みを進めており、素材や部材形状、レイアウトなどの組み合わせに対応した光学シミュレーション技術を確立ずみ。また、縫製部品では最新鋭のコンピューター制御ミシンを導入し、3次元でデザイン通りのステッチラインを可能とする生産体制を新たに構築している。
 樹脂加工については、基盤技術として研究開発を積極的に推進。すでに発泡により部材剛性を確保することでフィラーフリー化を実現したストレートPP発泡成形や、100%リサイクル材料を使用したポリエステル繊維強化PPの押出成形シートなどを事業化している。ナノコンポジットPPは補強材に直径100ナノメートル・厚さ1ナノメートルのクレイ粒子(ナノフィラー)を採用している。結晶微細化により剛性・耐熱性の向上および15%の軽量化を実現しており、傷が非常に目立ちにくいなどの特徴を持つ。
 樹脂部品の無塗装化は、揮発性有機化合物(VOC)低減や工程省略による低コスト化、塗装剥がれ(キズ)防止といった市場ニーズを背景に開発・実用化が活発化しており、金型の温度制御などのウェルドレス成形技術により原色系やピアノ調ブラックでは置き換えが進んでいる。しかし、メタリック系は輝度材(アルミフレーク)の配向制御や光反射特性の確保が難しく、現状では塗装品を代替し得る輝度感・光沢感が得られないか、製品サイズに制約がある。
 新開発の原着成形技術では、高発色樹脂として新たにナノフィラーを採用したナノコンポジットPA6を開発。同樹脂は一般材に比べて剛性および耐熱性で優れるほか、結晶の微細化により高い透明度と優れた表面平滑性(金型転写性)を実現しているのが特徴。また、モールドフロー解析による金型の改良など保有する技術ノウハウをベースに成形プロセスに独自の改良を施すことで、金型の温度制御技術では困難なアルミフレーク(輝度材)の配向性コントロールに成功。これによりムラがなく輝度が高く深み(奥行き感)のあるメタリック色を実現した。
 量産車へはシルバーメタリック色の射出成形部品が塗装部品と組み合わせるかたちで採用することが決まっており、「この大きさで(メタリック色の無塗装部品が)採用されたことはない」(同社)。今後、独自の無塗装技術として展開する一方、技術の高度化を進めることで適用範囲の拡大に取り組んでいく計画。
 安全性や環境に対する意識の高まり、差別化・高付加価値化を目的としたユーザーニーズの多様化など自動車内装部品への要求はより高度で幅広くなっている。同社では高度な技術・製品を生かしながら市場ニーズへの対応を強化していく。

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