トヨタ紡織は独自の表皮一体発泡工法による自動車シートの採用車種を拡大させている。同工法は金型にセットした表皮材の中にウレタン原料を注入・発泡させて成形する製造法。従来工法に対して身体のラインに沿った理想的な凹面意匠を実現できるのが特徴であり、2012年のiQ GRMN Superchargerへの搭載を皮切りにLEXUS ISやLEXUS RCF、MIRAIと採用車種を着実に増やしている。今後「トヨタ、レクサスの海外展開や欧州メーカーも視野に入れて営業を推進していく」(同社)方針であり、同工法による優れたシート性能をグローバルに訴求していく。
 同社は自動車の内装・外装品やパワートレーン機器部品などを展開する自動車部品メーカー。シート事業では、新たにアイシン精機およびシロキ工業と両社が保有するシート骨格機構部品事業の譲渡契約を締結し、世界規模での開発から生産までの一貫体制構築に乗り出すなど取り組みを強化している。
 現在、自動車シートはあらかじめ成形されたウレタンフォームにシートカバーを被せて製造する被せ工法が一般的。表皮一体発泡工法は、ヘッドレストや建設機械のシートといった比較的単純な形状の製品において量産技術として確立されているが、自動車シートに関しては複雑な3次元形状の適用するのが技術的に難しかった。
 同社の表皮一体発泡工法は表皮材をセットした金型へウレタンを注入し、型締め(硬化)した後に脱型して製造する。開発では表皮材のセット方法や材料の投入量といった改良を繰り返すことで、シートの隅々までウレタンを注入して発泡させることに成功。また、同工法では世界初となる着座センサーや空調機能の組み込み技術の開発をはじめ国内では初めてとなるエアバッグの搭載、さらにはファブリック、合皮、本革など多彩な表皮材を使った成形を可能とすることで自動車シートの量産技術として実用化に漕ぎ着けた。
 同工法は金型の形状を忠実に再現できるのでシートデザインの自由度が高く、これまでにない意匠性や機能性に優れたシート形状の設計および製造が可能。そのシートは理想的な凹面意匠の実現により、どんな体格に対しても座圧を最適に分散し、身体全体を包みこむ優れたフィット感を実現するほか、従来工法によるシートが乗員の身体を点で支えるのに対して凹面で支持するため、旋回時にかかる重力加速度から肩や腰を保持する高いホールド性を確保できるのが特徴。すでに限定車を含め国内において8車種で採用されている。
 同社では、独自工法を軸に自動車シート事業における他社との差異化を推進する一方、保有する技術開発力をベースに今後も高度なモノづくりに挑戦していくことで自動車の高性能・高付加価値化に貢献していく。
 

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