NOKは独自技術をベースに自動車用シール部品の高性能化を推進する。特殊配合のエンジンシール低トルク材料では、動圧効果の向上により摺動面の油膜を厚くすることで摩擦係数の低減化を実現。また、回転用低トルクシールリング(TS?Ring)では独自の表面加工によりシール機能に動圧効果を利用することで大幅な低トルク化に成功した。いずれも回転部におけるシール性能と低摩擦化という相反する特性を高次元で両立した。すでに低トルク材料はクランクシャフト用シールとして、TS?Ringはトランスミッションの油圧保持部品として提案を開始している。同社ではシール部品の性能向上を通じて自動車の低燃費化に貢献していく。
 NOKは国内シェア70%を有するオイルシールの最大手。シール事業ではオイルシールをはじめOリングや各種パッキンなど自動車関連を主に展開しており、独自の材料技術や評価解析技術などをベースとする高度な開発力、トップメーカーとしての情報力およびグループで構築する顧客サポート体制が強み。製品開発では市場ニーズの分析に基づく要素技術の先行開発を通じて業界をリードする。
 エンジンシール低トルク新材料は、クランク機構内部の潤滑油を密封するシール部品向けに開発した。配合技術によって摺動面に極微細な凹凸を形成できるのが特徴で、これによりシャフト回転時に形成される油膜を厚くすることができる。独自の観察装置による性能評価試験では、エアレーション面積比率(エアレーション領域/接触領域×100)が現行材の約1・7倍へ向上していることを確認ずみ。流体潤滑油膜の厚みを増すことで20%の低トルク化と製品の長寿命化(耐久性向上)を実現した。
 TS?Ringは、射出成形技術を応用したトランスミッションのための油圧保持部品。シールリングは、油圧により軸溝側面にシールリングが押し付けられ油の流路を遮断することでシフトチェンジに必要な油圧を保持する。新製品はPEEK樹脂製リングの摺動面(側面)に油を供給するための微細形状を付与し、軸溝側面との間に油膜を生成させることで摺動抵抗を下げつつ油圧保持を実現したのが特徴。新機構の採用により既存品に対して約80%の大幅なトルク低減を実現しており、軸溝側面の面粗さ改善によりトルクをさらに10%程度低減できることも確認している。
 トルク低減技術では、ハブベアリングシールでもリップ表面形状をマイクロメートルレベルで制御した梨地形状に加工するとともに、グループ会社のNOKクリューバー製低トルクグリースと組み合わせることで最大40%の低トルク化を実現している。エンジンシールの新材料は1980年代から展開してきたフッ素系材料の高性能化であり、市場ニーズに基づいた開発成果である。同社は業界トップとして今後も燃料電池車など次世代環境車向け製品を含めたシール部品の高性能化に取り組んでいく。

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